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2009年12月11日 00:00
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【特集】北送から50年―対談 坂中英徳・姜昌萬 (上)
9万3340人が「地上の楽園」を夢見て海を渡った

 1959年12月14日、新潟港から在日朝鮮人238世帯・975人を乗せたクリリオン号とトボルスク号が、北朝鮮・清津に向け出港した。世に言う北送事業(帰国事業)の第1便だった。その後、84年までの25年間で9万3340人が「地上の楽園」と呼ばれていた北朝鮮に渡った。第1便の出港から50年。北送事業とは何であったのか。坂中英徳・移民政策研究所所長と姜昌萬・本紙発行人が北朝鮮帰国者問題の本質に迫る。

【北朝鮮帰国事業とは】

―北朝鮮帰国者問題とは何だったのか。

 坂中 北朝鮮帰国事業は東西冷戦時代の産物だった。帰国した在日コリアンの97%は南(韓国)出身者と日本生まれだが、北朝
坂中英徳(移民政策研究所所長)
鮮を「祖国」ということにして彼らを拉致・連行したものだ。在日韓国人は韓国に自由に帰国できたが、それを金日成指示の帰国運動で北朝鮮に「帰国」するように仕向けた。1958年7月、金日成はソ連の臨時代理大使との会談で、「日本在住のすべての同胞が自ら祖国に帰ってくるよう勧めている」と語っている。朝鮮戦争の最中、ソウルを占拠した北朝鮮軍は、韓国人研究者や技術者9万6000人を北朝鮮に連行した。

  それと同じことを8年後に在日コリアンにした。

 坂中 しかし、約200人の帰国者が日本に舞い戻っているという事実は、まやかしの帰国運動に起因する問題が現在に至るまで存在していることの何よりの証拠。それによって、帰国者問題は日朝間の現在進行形の人道移民問題に発展した。このことの持つ意義はいくら強調しても強調しすぎることはない。

  11月16日付の朝鮮新報によると、朝鮮赤十字会中央委員会のキム・ヨンホ部長は、北送が金日成の指示だったことを認めている。「帰国実現は首領様が創始なさった主体的な海外僑胞史上の輝かしい具現だ」と。南北対立や日本の朝鮮人差別など、帰国理由を挙げればきりがない。しかし、金日成の意図は明白。「韓国」が祖国の韓国人を「帰国の形」を装って北朝鮮に連れ出すことだった。

【日本人教師も薦めた】

 坂中 おっしゃるとおりです。東西冷戦で資本主義の韓国と共産主義の北朝鮮の対立が激化する中、北朝鮮は本来韓国に帰るべき韓国人を獲得しようとしたのだ。北朝鮮に連行した。金日成はこれによって北朝鮮の政治的立場が強まると考えていた。

姜昌萬(統一日報社社長)
  私は当時、大阪の市立中学校の3年生だった。朝鮮人の担任であった先生は毎日朝から「北朝鮮は素晴らしい」と話していた。

 坂中 ぼくの田舎の中学校でも日教組の先生が在日コリアンの生徒を呼んで「北朝鮮に帰るように」と勧めていた。当時、ジャーナリストも文化人も共産主義シンパが多かったから、「韓国はダメだが、北朝鮮はいい国だ」と言っていた。

  「南朝鮮は米国の支配下で貧しい国。北朝鮮は工場がたくさんあって発展した国」という宣伝の大合唱だった。

 坂中 日本人の先生に感化された子どもが親を説得する。「北朝鮮に帰ろう、帰ろう」と。

  先生に勧められて帰った人はかなりいる。

 坂中 学校の先生が帰国運動に荷担した事実は、確認しておきたい。

  日本に生活基盤をしっかり築いていた人たちも帰った。資産を売った人は一部いるが、ほとんどの人は朝総連に寄付した。

 坂中 祖国愛という一面もあったのでしょうね。

  それもあったでしょう。ただ、7割ほどの人はよりよい生活を求めて帰って行ったのだと思う。残りの3割は祖国再建のために身を捧げようと思って帰ったのではないか。それに、しばらくすれば日本に帰れると信じていた。

 

坂中 英徳=1945年生まれ。元東京入国管理局長(05年退職)。現在、移民政策研究所所長兼人道移民支援センター代表。著書『今後の出入国管理行政のあり方について』(1989年、日本加除出版)ほか、『脱北帰国者支援は私の使命』、『日本型移民国家の構想』などの小冊子で、今後50年で1000万人の移民受け入れなどを提言。

 (聞き手=溝口恭平)

 

2009-12-11 4面
 
【特集】北送から50年―対談 坂中英徳・姜昌萬 (下)
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記事: 統一日報社  
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