226番歌を解く
荒波に縁が美しかった。
行き詰まった所に彼が捨てられた。
私に続く足跡を誰が調べているのか。
丹比という者が柿本人麻呂のため詠んだ涙歌だ。ここで荒波とは荒い世の中を意味する。縁が美しかったとは持統天皇との縁を指す。人麻呂は死を言い渡された。彼は処刑された後も監視されていた。
227番歌の解読
天から落ちた蛮族だけが生きる荒野に、
貴方は捨てられた。
私は貴方について何も思い出せない。
柿本人麻呂に当時の人々が捧げた歌だ。これが彼に対する最後の作品だ。人生とはこんなものなのか。彼が亡くなってから1300年があっという間に過ぎた。
ソウルから来た万葉集の旅人が、柿本人麻呂の生涯を復元し、日本の皆さんに伝えることができて嬉しく思う。柿本人麻呂と筆者はどんな縁があって1300年を隔てて語り合うようになったのだろうか。また、この文を読む人々は人麻呂とどんな縁なのか。
今は島根県である石見国の高角山を訪れる人々よ、歌聖・柿本人麻呂を覚えていてほしい。
「万葉集物語」の連載を終えながら万葉集編纂の秘密、その目的を語る時がきた。古代日本列島語で詠まれた万葉集(郷歌)は当然、宮中の中でだけ詠まれたわけではなかった。ところが、持統万葉が花を咲かせるのは、壬申の乱で天智天皇系を押さえた持統天皇が、天武天皇と自分の子孫たちが「万世一系」に皇統を継ぐため万葉の神の恐るべき魔力に期待したためだった。万葉集の1巻には正史に書けなかった皇統をめぐる葛藤が盛り込まれている。万葉の魔力が歴史をどう動かしたかを見て見ましょう。
歌聖 柿本人麻呂(万葉集の高峯峻嶺の秘密) <了> |