韓国人に「韓国で一番食べ物がおいしいところは」と聞くと、ほぼ全員が「全州」と答える。古くから半島南部の穀倉地帯として栄え、海の幸と山の幸にも恵まれた全州は、特にビビンバ(様々な具を入れた韓国の混ぜご飯)で知られる。
全州ビビンバは現在、韓国の無形文化財となっているほどだ。
全州ビビンバは平壌冷麺、開城湯飯とともに朝鮮王朝時代の3大料理に数えられてきた。モヤシやもち米、唐辛子味噌など、30種類以上の具が入る。
創業40年になる中央洞の「盛味堂」は全羅北道指定の飲食店第1号で、地元では有名な店だ。「盛味堂」のビビンバは、プラスチックや石の器ではなく真ちゅうの器に入って出てくる。昔ながらのスタイルだ。
また、通常白いご飯に具材を盛りつけるが、同店ではコチュジャン、豆モヤシ、ゴマ油などを混ぜて炒めたものをベースに用いる。
店によって料理方法もいろいろのようだ。
全州マッコリ(にごり酒)は韓国3大マッコリの一つと呼ばれている。必須アミノ酸が約10種類含まれ、たんぱく質の含有量も高いの | まろやかな甘みが特徴 | が特徴である。全州マッコリは「いくら飲んでも二日酔いしない。酒ではなく食べ物だ」と言われる。
全州マッコリは、1回目は楽しさに酔い、2回目は酒の肴に酔い、3回目は味に酔い、4回目は値段に酔うといわれる。
| マッコリを注文するとテーブルいっぱいのおかずが・・・ | 全州市内には各地にマッコリタウンがある。マッコリタウンでマッコリを頼むと、マッコリがヤカンに入って登場する。次から次へと運ばれる料理は、すべて無料でおかわり自由。マッコリを追加すると、さらに多くの料理が出てきてテーブルは一杯になる。
三川洞は全州市内のマッコリタウンの中でも最も店が多い。マッコリ専門店の「ドゥヨインマッコリ」では、1万5000ウォンのセットを一つ注文すると、10種類以上の料理がテーブルに並ぶ。
知らず知らずのうちに酒は進み、地元の人との歓談の輪が広がる。楽しさに酔い肴に酔い、味と値段に酔うと、いつしか地元の人情に酔っているのである。 |