今回の連載は「友情」をテーマとしているが、そもそも友情とは何だろうか? この問いかけに対して、韓国では昨年『友情とは何か』(2025・Dulnyouk Publishing.Co)というそのものずばりの書籍が刊行され、世宗図書教養選定図書に選ばれたほか、ハンギョレ新聞などでもメディア推薦書として紹介された。法学者パク・ホンギュによる思想史シリーズの一冊で、古今東西の思想家による個々の友情論を、各時代の現実と思想の脈絡の中で比較考察している。こうした書籍が刊行されることから見ても、やはり友人との関係性に不安や悩みを抱く人々は少なくないのだろう。ちなみに著者は冒頭で、自分には友と呼べるような人はおらず、本を友として生きてきた、と語っている。そのような人物だからこそ、友情論の考察が可能だったのかもしれない。
フランスの田舎町、トゥールに引っ越してきた『ボンジュール、トゥール』のボンジュの目下の関心事は二つ。ひとつは学校で出会ったミステリアスな日本人の少年、トシのこと。もうひとつは、自分の部屋に備え付けられていた机の落書きだ。それは”愛するわが祖国、愛するわが家族””生きぬかなければ”とハングルで書かれたものだった。大家さんに聞いても、日本人に貸したことはあるが、韓国人が住んでいたことはないという。だがボンジュは諦めきれず、さらにさまざまな人々に聞き込みを開始する。そうするうちに、彼は前に住んでいた「日本人」が何か知っているのでは? と思いつく。以前住んでいた日本人が経営するという日本料理店に行きつくと、そこにいたのは、ボンジュのクラスメート、トシだった。落書きはトシが書いたのか? トシは本当は韓国人? だがトシは否定し、涙を見せる。トシは翌日から学校に来なくなった。
『ONE:ハイスクール・ヒーローズ』でウィギョムに味方するユンギにも、秘密があった。親友だったジソンがいじめに遭って屋上から転落し、意識不明に陥ってしまったのだ。自分を責めてきたユンギ。ウィギョムとの出会いは、彼に勇気を与える。そのウィギョムは、過度の期待と虐待に潰された兄への思いから、父や周囲に敢然と反旗を翻していく。強い相手を倒し、さらにその上の相手に立ち向かうウィギョムに、ユンギも食らいついていく。かつて、ジソンを守れなかったユンギだが、今は違う。目覚めたジソンもまた、ユンギの力となる。こうして強い絆で結ばれたウィギョムとユンギに怖いものはない。この後、さらに過酷な人生が待ち受けているように見える彼らだが、もう二人とも孤独ではない。なぜこんなことを? とウィギョムに問う父の姿が印象的だ。父親にも親友と呼べるような誰かがいたら、ウィギョムを理解できただろうか。
休んでいたトシがボンジュの家にやって来る。自分は北韓人だと告げるトシ。わけのわからないボンジュだが、自然と親近感を持つようになっていく。包み隠さず出自を語った勇気に強い共感を抱いたボンジュだが、別れは唐突にやって来る。別れは二人の絆の強さをより鮮明に映し出す。共有した秘密と、それがもたらした友情はさらに深い絆を生んだのだ。
ボンジュとトシ、ウィギョムとユンギが育んだ友情は、その後、途切れるかもしれないし、続いていくかもしれない。少年期の彼らが出会った友情が、彼らの将来にどんな彩りを添えることになるのか、大人になった彼らと再会できる日を楽しみにしたい。(おわり) |