北韓が核放棄の意図などみじんも持っていないことが改めて明らかになった。かねてから使用済み燃料の再処理を行ってきた寧辺の核施設で、プルトニウム生産を再開していたことが決定的となった。ただ専門家は、核能力の向上以外に目的があると指摘する。特に警戒すべきは潜水艦からのミサイル発射技術開発の隠れ蓑に使われることだ。軍内部では金正恩への不満がたまっているともいわれる。金正恩体制は、不安定さを増しながら核開発を進めている。 今年に入って相次いでいる核・ミサイル開発で、北韓は国際社会からの制裁を受けるに至った。しかし金正恩は核開発を続けている。先代からの遺訓である上に、米国からの対話を引き出すためには、核保有国と認められることが条件だと信じているからだ。 ではひそかに核開発を進めてはどうかという疑問がわく。しかし北はこれ見よがしに、意図的に開発を進めている。これは、韓国に対するかく乱の一環であることもさることながら、米国の大統領選挙をにらんで国際社会の一角から対話路線の主張を誘い出すための狙いがあると専門家は指摘する。 同時に、北に対して見えない圧力を強めてきている中国に対する反発と牽制の意図も見られる。SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の開発を急いでいることから目を逸らす目的もあるだろう。 北韓の核開発の側面から見て、使用済み燃料棒の再処理によるプルトニウムの追加生産は、大きな意味がないとの指摘もある。核能力の向上以外に多くの効果が見込める、多目的な策略といえる。 緊張感を高めることによる内部の引き締めも、北では伝統的な戦術になっている。党大会などを経て金正恩は体制固めをしているといわれるが、専門家はその体制は意外にもろいと指摘する。 例えば軍の掌握だ。もちろん厳しい取り締まりと監視体制のため、軍幹部であっても公然と金正恩に反抗することはできない。ところが、北の実情は、金正恩の兄弟や叔父(生母・高英姫の弟)などわずかな血縁だけが頼りだという。この危機を党組織指導部や国家安全保衛部だけに頼って乗り越えられるのか疑問だ。 軍の指揮官は兵士を食べさせねばならないが、それもできない状況で金正恩が核ミサイルにばかり資金を注ぎ、核分野だけを優遇することに不満を募らせている。そして特殊部隊上がりの金英徹が冒険主義を進め、対南担当の党副委員長として正統な軍指揮官の上に立つのも、彼らにとっては我慢できない問題だ。 いずれにせよ、金正恩が核ミサイルを放棄する可能性はない。韓米同盟の現実的な対応としては、韓国に相応の抑止力を許すか金正恩を除去する方法を真剣に模索することだ。 |