政府が開城工業団地の稼動を全面中断した後、中国の持続的な北韓支援を批判する声が高まっている。特に中国が北韓に年間50万トンの原油を支援していることが問題視されている。これと関連し、中国が米国に対北原油支援だけは制裁の例外条件にしてもらうよう要求し、米国の了解を得ていたという話が伝わり、北韓専門家の間では、本当にあった話として受け入れられている。
問題は中国からの原油支援だけだろうか。開城工団の稼動中断後、統一部は韓国から開城工団に送っていたエネルギー量を公開。この間政府が戦略物資である油類を、少なからず開城に送っていたことが確認された。
政府の資料によると、2015年1月から12月までの間、開城に供給されたエネルギーは、車両用のガソリン644トン、軽油5828トン、灯油約100トン、潤滑油約69トン、液化天然ガス(LNG)332トン、プロパン7674トン、ブタン1トンなどだ。金額的には、軽油600万ドルとプロパン567万ドルが最大の貿易品目に分類される。
昨年1年間で開城工団に供給された原油の総量は6640トン。ガスの総量は8006トンを上回る。04年末に稼動を始めた開城工業団地の運用期間を10年とすると、単純計算で約6万トンの原油と8万トンのガスが北に入ったことになる。
電気や水道の供給量も少なくない。韓国電力は1日3万~4万キロワット時を供給していた。韓国水資源公社は、公団近くのウォルゴ貯水池から1日1万5000トンの水を届けていた。
これらのエネルギー供給量を定めて執行する主体は韓国政府だ。開城工団に供給されるエネルギーは、120社に及んだ韓国の入居企業が製品を生産するために使われたはずだが、ここまで膨大な量の油類が消費されていたという事実は、広く知られていない。
石油、ガス、電気などのエネルギーは、有事の際の戦略物資だ。このエネルギーが北韓軍に流用されれば、いつでも戦争やその準備のために転用される恐れがあった。
政府は入居企業の需要に応じてエネルギー物資を調整してきた。しかし、実際に使われる量の確認や検査はなかったという。企業側が過大申告をして、余剰分を北に渡すことも理論上は可能だ。
韓国政府は、軍需品として転用されるかもしれない開城工団の戦略物資を適切に制御できていたのか、今からでも綿密に探ってみる必要があるといえる。
(ソウル=李民晧) |