東京大学東アジア藝文書院潮田総合学芸知イニシアティヴと、東京大学文学部中国思想文化学研究室は東京大学文学部教室で7月25日、川原秀城・東京大学名誉教授による特別講演を開催、対面とオンラインで約110人が参加した。
講演のテーマは、昨年夏に刊行された川原名誉教授の『朝鮮朱子学~退渓心学と栗谷道学』に合わせ、韓半島の朱子学がもつ〝中国とは異なる〟文化的な特徴について語った。
従来の研究では、中国の宋や明の時代に栄えた朱子学や陽明学との連続性からのみ朝鮮王朝時代の朱子学を理解してきた視座を明確に否定、韓半島で独自の発展を遂げた点を強調した。
発表内容のうち特筆すべきは、世宗大王のハングル創製の功を、朝鮮朝初期に受容されつつあった朱子学のフレームワークから成り立ったものと捉え直した点など。
講演を聴講した洪熒・本紙論説主幹は、「退渓と栗谷が大韓民国の紙幣に据えられ続けている背景から考えれば、別の儒学者たちではなく、彼ら2人にこそ注目しなければならないとする川原名誉教授の発言は理解しやすかった」と述べている。
韓半島独自の発展を遂げた朱子学について講演する川原秀城・東京大学名誉教授 |