韓日国交正常化60周年を迎える今年、両国の学生交流が活発化している。韓日の若者が文化や学術を通じて相互理解を深めることは、歴史的・政治的課題を乗り越え、未来の友好関係を築く基盤となる。これらの取り組みの意義と、2025年に予定されているイベントを紹介し、その背景と影響について考察する。
韓日の学生交流は、両国民の相互理解と信頼関係を強化する重要な手段だ。24年には両国間の往来者数が1200万人を超え、人的交流が急速に回復している。学生交流は言語や文化の違いを学び、歴史認識や価値観に対する理解を深めることに資する。国交正常化60周年を機に、両国政府や民間団体が交流事業に対し積極的な支援を行っており、青少年が未来の両国関係を担う役割を果たすことが期待されている。
交流は地域の活性化にも寄与し、観光や経済の振興にも繋がる。これらの取り組みは、環境問題や急速なデジタル化など世界的な課題への共同対応の土台を築く可能性も秘めている。
韓国の学生が日本へ
日韓文化交流基金は、1983年の設立以来、青少年交流事業を中核として韓日の相互理解を促進してきた。今年も「2025年度韓国大学生訪日団」を6月24日から9日間の日程で韓国全土から選抜された大学生など105人(団長2人、引率2人を含む)が来日。「日本の平和への取組みと日韓交流」をテーマに、各種視察、学校訪問、テーマ関連講義の聴講を通じて対日理解を進める。このプログラムでは、韓国の大学生が日本を訪問し、現地の大学生との交流や文化体験、テーマ別視察を行うものだ。今年は福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県で交流事業が実施された。同世代の学生が日本の文化や社会をテーマに議論し、学校訪問やホームステイを通じて直接的な対話を深める。
日本の学生が韓国へ
韓国・釜慶大学校は6月28日、同大学で「日韓次世代学術フォーラム第22回国際学術会議」を開催した。
このフォーラムは、日本と韓国の若手研究者や学生が集まり、学術的な議論を通じて交流を深めるもの。人文社会分野において日韓両国の次世代研究者に研究発表と相互交流の場を提供し、両国の研究活動の活性化を目指す。今回のテーマは両国の「協力関係構築」について。基調講演は柳明桓元駐日大使が行い、韓日の歴史や文化、未来の協力のあり方について議論をした。日本から参加した学生が韓国の学生と共同でプレゼンテーションを行った。参加者からは「韓国の学生の研究アプローチに新しい視点を得た」といった声が寄せられた。
対馬の高校生と交流
長崎県対馬市では、6月24日から26日まで、韓国の信韓大学の新入生約300人が参加する大規模な交流イベントを開催した。
このイベントは、韓日国交正常化60周年を記念して同大学が企画したもので、対馬の地理的近さ(韓半島から約50キロ)を活かし、地元高校生との交流が行われた。
具体的には、信韓大学の学生が対馬高校を訪問し、地元の学生と文化交流やディスカッションを行った。今月上旬まで複数回にわたり約1000人の学生が訪れる予定。8月3~4日には韓日の学生が討論・発表を行うイベントも予定されている。
この取り組みは、対馬の地域振興にも寄与し、「新しい未来に進む契機」として注目されている。対馬高校は公立高校で唯一、韓国語を専門的に学ぶ学科を設けており、19年から5年間で440人が入学、半数以上が韓国の大学に進学するなど、学生交流の基盤が整っている。
交換留学プログラム活況
韓日大学間の交換留学プログラムも活発化している。ソウル国立大学(SNU)と東京大学の交換留学プログラムでは、今年春学期(3~7月)に多くの国際交換留学生が参加した。
プログラムでは、英語による講義で国際関係や工学について学ぶコースが人気でSNUの「SNU Buddy Program」を通じて韓国人学生と交流。交換留学生は学費を母校に支払い、SNUでは学費が免除される仕組みだ。
そのほか韓国国立芸術大学(K・Arts)の交換留学プログラムや、大学のグローバルサービスセンターを通じた交換留学プログラムなども人気だ。
学術と文化の交流を通じて、両国の学生が相互理解を深める場となっている。これらの取り組みは韓日の若者が未来の協力関係を築く基盤となり、今後のさらなる発展が期待されている。
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