4月16日のガイダンスを一回目とし、第42期を迎える市民講座「朝鮮文化講座」が、今年も都内の早稲田奉仕園を会場に開講する。
42年もの長きにわたり講座を運営し、講師を務めている小川晴久・東京大学名誉教授によると、実心実学とは、福沢諭吉(1835~1901年)の定義するような実用の学としての「実学」ではなく、近代以前の学者たちが心に重点を置き展開した、豊かな内実を伴った学問を指す。
今期は、江戸時代の三浦梅園(1723~89年)や明末清初の李二曲(1627~1705年)の実心実学にも言及する。同時代の韓半島では、朝鮮朝時代後期に「宇宙無限論」を唱えた洪湛軒(1731~83年)が、代表的な実心実学者とされている。
昨年までの本講座では、張無為堂(1928~94年)の「ハンサルリム宣言」の究明が続けられてきた。今期は、18世紀以前の実心実学に一度立ち返り、20世紀以降の産業文明・生産第一主義・成長主義などを捨て去るような、「新たな文明観を打ち出す」という人類史的な課題に取り組む。 |