2030年のエキスポ誘致投票(11月28日)で韓国(釜山)が29対119でサウジに敗北した。
韓国が、サウジに圧倒的に敗北したのは当然だ。国際政治のパラダイムが変わったためだ。世界はすでに多極化体制に入った。
ウクライナ戦争を契機に、米・英など西欧(NATO、EU)が主導してきた国際秩序に対するグローバルサウスの反発、拒否は大勢となった。ウクライナ戦争でNATOの敗北はもはや隠せない。ここにイスラエルハマス間戦争がこの葛藤と対立を決定的にした。
人口面からみると、これまでの支配権を維持しようとする西欧(及び韓・日など西欧指向国家を含む)と、これを拒否するグローバルサウスが約20%対80%の構図だ。グローバルサウスの立場から見れば、瓦解しつつあるNATOに代わり「西太平洋版NATO」(「韓米日同盟」)を云々し蜃気楼を追っている韓国政権は、歴史の反動勢力と見られるかもしれない。
ちょうど、東西冷戦で米国の利益のために、他の世界を犠牲にしてきたキッシンジャーが死亡(11月29日)した。米国中心の国際秩序を作ったキッシンジャーに対する国際社会の評価は冷酷に変わった。「ニクソンショック」を覚えている人々は、米国は必要なら、いつでもアジアの同盟国を裏切ることができる国家だという教訓を得た。
ニクソンとキッシンジャーは、基本的に韓国を米国の冷戦戦略の道具、米国が徹底管理すべき前哨基地、消耗品と見なした。
キッシンジャーが設計したドル体制の終末も遠くない。ロシアは来年、BRICS通貨を発行する準備をしている。多くの国が同様のことを考えている。
韓国政府とメディアは、国際政治のパラダイムの急激な変化を認めず、韓国がサウジのオイルマネーに負けたのだと状況を糊塗、だまし続けている。尹錫悦政府は自分たちの慣性的な米国追従政策を、世界の至る所で現状変更のために既存の国際秩序米・英が主導するいわゆる「規則基盤秩序」に挑戦する国々と、この諸国を牽制する自由民主陣営国家の間に「新冷戦」が激化、特に北韓の核脅威の状況で避けられない選択だと強変している。
しかし、これは深刻な錯覚、誤った現実認識だ。国際秩序はすでに自由民主陣営対全体主義独裁の対決でない。
ウクライナ戦争の持続を望み、イスラエルを支持する西欧はもはや自由民主の価値を維持、守護する陣営と言えない。尹大統領には戦略的原則がない。韓国を敵視しないロシアを敵に回した。一方、韓国に対する最大の脅威勢力で、脱北者らを強制北送する中国の習近平には会いたがっている。
第5次中東戦争は、人種主義や宗教的教義に陥り、他民族との共生、共存を拒否するイスラエルが暴走を続ければ、破滅的な世界大戦に発展しかねない。イスラエルは、当面はハマスとパレスチナの抹殺を目指すが、これの邪魔となるすべての国々に敵対する構えだ。イスラエルの利益を自国の利益よりも優先させてきたように見えてきた米国も、これまでのようにイスラエルを盲目的に支持すべきかどうかを決める瞬間に直面した。
米国は以前のようにすべてを決められない。それでも、米国はまだミスを犯しても挽回できるかもしれないが、米国に追従する韓国は、外交安保でミスを犯せば取り戻しは難しい。ウクライナ戦争と第5次中東戦争が米国政治、米国の政権さえ変えている。通常国家の韓国は、世界の変化を無視し、井の中の蛙になれば、飢えて衰弱し矮小化し結局、淘汰される。
人間は宇宙をもっと遠くまで見るためには新しい観測装置が必要だ。韓国人は歴史と世界を的確に見るため、古い観点を変えなければならない。 |