韓国野球委員会(KBO)は19日、来シーズンから自動ボール判定システムとピッチクロック制度を導入する計画だと明らかにした。デジタルシステムの導入により、より正確なジャッジが可能となる。スポーツの世界では、常に誤審はつきものだ。それが悲喜こもごものドラマにつながった例は枚挙にいとまがない。例えばマラドーナの「神の手」ゴール。VARが導入された現代では、ゴール取り消しになっていただろう▼半面、デジタルシステムの導入で野球で言えばバッテリーと打者、そして球審との駆け引きも味気ないものになるだろう。三冠王を3度獲得した落合博満氏は、判定が自分に有利になるように、バッターボックスで球審と巧みな会話を行っていたという。そういった醍醐味が失われないだろうか▼デジタル化の潮流はスポーツの現場だけではない。仕事ではAIツールの導入、社会生活でも例えば、紙幣は電子マネーに変わりつつある。これからも、さらにこういった傾向は加速していくだろう。一方、デジタル化はもろ刃の剣でもある。前述した面白さが失われるといった以上の危険を伴っている▼韓国の不正選挙疑惑では選挙のデジタル化が問題になっている。現状の電子選挙システムはハッキングにより選挙人名簿の操作や、なりすまし代理投票ほか、さまざまな不正が可能であることが分かった。今後、より急速に社会のデジタル化は進むと予想されるが、その流れに身を任せるのではなく、使用方法やあり方などを精査すべきだろう。 |