韓日両国の財務長官は6月29日、東京で会合を開き、100億ドル規模の通貨交換(スワップ)の再開に合意した。2015年に終了してから8年ぶりとなる▼通貨スワップの再開は、どちらかといえば韓国にとってメリットが大きい。韓国は1990年代末に通貨危機を経験。金融部門・企業・労働市場・公共部門へのIMFの全面的な介入を許した。危機は乗り越えたが、当時の痛みを覚えている人は少なくないだろう▼在日韓国人社会でも民団が先頭に立ち、外貨(円)送金運動を行った。以降、通貨ウォンの脆弱性は韓国経済の大きな弱点と言われ続けてきた。そのイメージはぬぐい切れていない▼だが、現在の韓国は4200億ドル超の外貨準備高を維持しており、金融体力もある。直ちに外貨不足に陥る可能性は低いといえるだろう。今回の韓日スワップ再開は、輸出分野に続き、金融分野でも韓日の経済関係が修復されたという象徴的意味合いが強い▼韓日通貨スワップは外交摩擦を映し出す鏡のようなものだった。2012年の李明博大統領による独島(竹島)上陸が15年の協定失効につながり、関係悪化の象徴となっていた。韓国政府は16年に再開を要請、だが当時の韓日関係は悪化の一途をたどっており、日本側が交渉を中断した▼政経分離の考え方に則れば、外交摩擦が生じても、経済協力は維持されるべきだった。再び外交関係が悪化すれば経済関係にも波及する恐れはあるが、両国政府が改善に向けて本格的に動き出したことは確かなようだ。 |