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2022年05月10日 11:43
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韓国スローフード探訪72 薬食同源は風土とともに
扶余の「蓮の葉ご飯定食」

 大型連休も終わり忙しい日常が戻ってきた。海外からの観光客を受け入れる方向とのニュースも流れ、韓国旅行も近くなってきた。
汗ばむ季節になる頃に決まって訪れているのが、ソウルからバスで行く扶余がそのひとつ。百済最後の都で知られ、さらに2015年には世界遺産『百済歴史地区』に指定されたことで注目を集めている。かつてを偲ぶことができるのが扶蘇山城や五層石塔と毘盧遮那仏のある定林寺址。大伽藍の正面にあたる位置には蓮の池があり、さらに市内の南には蓮の花が美しく咲き誇る宮南池を見ることができる。この池は、当時の武王(百済30代王)が造った離宮にある池で、6月下旬から7月には蓮の花が見ごろとなる。
バス停から扶蘇山城・定林寺址・博物館・宮南池と歩き、散策の途中でいただく蓮の葉ご飯と共にポッサムやプルコギを食べるのが楽しみになった。扶余を最初に訪れたのが1998年。その時は扶蘇山城の帰りに遊覧船を利用し、船着場の近くにあった食堂で栄養釜飯(看板に書いてあったメニュー名)を食べた。ナツメや栗、銀杏、黒豆などが入ったご飯を一人用の釜で炊いたものだった。甘味と香ばしさがあって「何て美味しいのだろう」と。その時、初めて葉物野菜を掌に乗せて、ご飯、キムチなどのおかずを好きなように加えて食べるということを知った。それまでは釜山やソウルで「こうやって食べるのよ」と教えてくれた方々も沢山いたが、焼肉店だったためか肉を食べる時に葉物野菜に挟んで食べるのだろう、と、勝手に思い込んでいた。が、そうではなかった。店のご主人がお手本を見せてくれながら、「こうして食べると消化にもよく、食の細い人は一緒にいろいろな栄養が摂れるし、その逆の場合は野菜を摂ることで栄養のバランスが良くなるから。いろいろなものを食べることが大事という考えが昔から韓国にはあって」と説明してくれた。さらに、「地元の物を食べることが大事でね。韓国には昔から身土不二の考えがあって」と。『栄養釜飯』の看板に惹かれて偶然に入った食堂だったが、教わることが多かった。店主の流暢な日本語に助けられたと話すと、日本から訪れる修学旅行生に説明できるように日本語をマスターし、食べ方の説明もされているとのことだった。以来、韓国のさまざまな地域を訪れながら葉物野菜がドーンとテーブルに用意されると「そうそう」と思うようになった。
豪華な「蓮の葉ご飯定食」
 ある日、確か2008年ごろと思うのだが『扶余名物・蓮の葉ご飯』というのを目にした。他の地域でも同様のご飯をいただいたことはあったが、まずは、食べてみることにした。ホカホカの蓮の葉ご飯がテーブルに登場。ご飯を包んでいる紐をほどき、葉を広げていくと品の良い甘い香りが立ち上がる。松の実やクルミ、ナツメ、栗、豆などが入ったお強があらわれた。そのご飯に感動するのも束の間、ご飯とバンチャン(小皿料理)でお腹がいっぱいになってしまう。定食を頼んでしまい後悔が始まった。そこに、ポッサム(ゆで豚)やプルコギなどがどんどん出てくる。ソウルから同行してくれていた韓国の友人から「4人だったらこれぐらいだね」と。よく食べる割にはスリムで肌もピカピカの彼女。
ポッサムもプルコギも山のように出された葉物野菜に包んで食べた。蓮の葉ごはんの香ばしさは言うまでもないが、すべてが自家製という料理の数々。「定食にして良かった」と思っていると韓国人の友人が「食べたい物をセットしてもらっただけ」と。定食の内容は好みで選ぶのか?と思いながらも融通がきく韓国のこういうところが大好きだ。
昨年、韓国旅行をオンラインで紹介する機会があった。現地の方に扶余の取材を依頼し、食の情報として「蓮の葉ご飯定食」も入れた。モチ米に、さまざまな木の実を入れて炊き上げてから蒸らし、さらに蓮の葉に包んで蒸しあげた蓮の葉ご飯。そこにポッサム、プルコギ、サム用の野菜、テンジャンチゲやキムチなどが並んだテーブルの画像とコメントが届いた。
身土不二の考えがしっかりと根差した古都のご飯。その魅力は画像からも伝わってくる。

新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2022-05-11 5面
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