スターリンの衛星国家として出発した北韓は、やがて「抗日パルチザン闘争」という、歴史を捏造し、「パルチザン精神」を強調する「パルチザン国家」に変貌する。「パルチザン」とは、必要なものを敵から奪う、略奪を意味する。元々共産主義者は欺瞞と暴力を革命戦略戦術の基本とするが、金日成は略奪を国家理念、生存原理としたのだ。北韓の社会主義化を一段落した金日成は、韓国を略奪、併合するため、すべての力量を動員した。
すでに4大軍事路線に着手した金日成は、第2の南侵・韓国赤化のための戦略路線を提示した。
1964年2月27日、朝鮮労働党中央委員会第4期第8次全員会議は、今日まで朝鮮労働党の統一政策の基調となっている3大革命力量強化路線が提示された。
金日成は、いわゆる「祖国統一と朝鮮革命の全国的勝利」のための戦略基本方針としては、北朝鮮(北韓)の革命力量、南朝鮮革命力量、国際革命力量などに区分される3つの革命力量の強化を提案した。
「北韓の革命力量」とは南韓を共産化する基地としての北韓地域を強化することで、南韓の革命力量とは、北の支援を得て南韓で革命が起きるようにする力だ。そして国際革命勢力とは共産化統一に有利な国際的環境を作る力を指す。
つまり「第一は、北韓での社会主義建設を遂行して革命の基地を政治、経済、軍事的に強化していくことであり、第二は、南韓の人民を政治的に覚醒し固く結集させて、南韓の革命勢力を強化することで、三番目は、朝鮮人民と国際革命勢力との団結を強化すること」をいう。
要するに、3大革命力量とは北韓の対南革命支援力量を強化し、南韓の革命環境を造成し、南北韓の革命力量活動の国際的環境を改善し、統一と革命の全国的勝利を早めるという戦略方針と言える。金日成は65年4月、バンドン会議10周年記念行事に出席するためインドネシアを訪問した際も、この3大革命力量強化方針について演説した。
「南朝鮮革命力量強化」は、統一革命党のような地下党を組織、南韓での反政府騒擾事態などを革命の舞台や機会として利用する試みだ。三番目の「国際革命力量との連帯強化」は、朝鮮革命が民族的な課題であると同時に、世界革命の一環という認識から、このような連帯強化を通じて米帝を国際的に孤立させることが、革命の勝利のため重要な意義を持つと説明される。国際革命力量との団結の強化は、社会主義国家の人民たち、第三世界の人民たち、民族の独立のため闘争する人民たち、資本主義諸国の労働者階級や平和愛好人民との団結をその内容とする。
後述するが、「国際革命力量との連帯強化」は、当然のことながら、金日成の北韓の能力だけで可能なことでない。特に70年代以降、西側諸国にまで、親北団体を組織、反韓闘争を展開して、国際的革命力量強化を目論んだのは、金日成が、世界共産化を目指すモスクワの充実な下手人として、軍事・テロ輸出という悪役を遂行しながら、この悪役を正当化、ないし付随的に追求したものと見なければならない。
そして、朝鮮労働党日本支部(朝総連)の使命がまさにこの国際的革命力量強化のためのものだ。朝総連が日本の総評をはじめとする労働組合など左翼団体を基盤として、マスコミや政界に至るまで、日本社会のあらゆる分野に幅広い連帯と交流関係を構築してきたのは、まさにこの目的のための工作活動だった。
(つづく) |