ログイン 新規登録
最終更新日: 2024-04-23 12:41:29
Untitled Document
ホーム > 特集
2020年01月01日 00:00
文字サイズ 記事をメールする 印刷 ニューススクラップ
 
 
【新春対談】緊迫する東アジア情勢
現状分析と未来への提言

 韓半島をめぐる情勢が緊迫している。緊張と混乱が続くなか、憲法と法治の形骸化をもくろむ文在寅政権によって、「国体の変更」が急速に進み、今年は国会議員選挙が行われる。一方、背景には米国・日本などの自由民主主義陣営と中国・北韓などの全体主義国家との戦いがある。昨年は歴史的な事態ともいえる香港デモが起こり、東アジア情勢も急激に変化している。本紙新年号では、アジア情勢に詳しい下川正晴氏、三浦小太郎氏を迎え、東アジアの現状と未来について語ってもらった。

◆メディアの問題点
過去のフレームで固定した見方(下川)
現場に行かず終わってから取材(三浦)


――複雑化する世界情勢のなかで、メディアの役割がさらに重要になってくると思われる。しかし韓日両国とも正確な情報が報道されていないという指摘もある。
 下川 現場の声を拾っていないことが一番の問題だ。曺国に関する報道もだが、日本の報道は世論調査の数字しかみていない。韓国で発表される統計データはあまり信用できないということが言われているなかで、支持率何%、不支持率何%といったことしか報道されない。もちろん数字の分析も必要だが、どういった人々が太極旗集会に来ているのかがまったく取材されていない。
三浦 トランプ政権の誕生を予測するメディアは少なかった。香港の総選挙も同じだ。香港については「デモ隊が過激化し民意が離れている」との報道もされた。過激な行為に対する反発はあっただろうが、その人たちが中国共産党に対してどういう見方をしているのかも取材すべき。結局、メディアは現場に行かないから、正確な情報がつかめない。終わってから取材して解釈するというのが一つの流れになっている。
下川 正晴氏
――日本での韓国報道は現政権寄りのものがほとんどだが。

下川 取材をしていないから、日本での報道は韓国の新聞の焼き直しになる。韓国のメディアは、政権との結びつきが強い。全斗煥時代に朝鮮日報が行っていたことを今はハンギョレ新聞がやっている。権力にくっつくメディアは腐敗する。また、ソウルの特派員は大学で韓国関連の勉強をしたことのある記者が多いが、学習した過去の韓日関係のフレームでものを考え、それに当てはめる。韓国の民主化運動などを勉強してきた結果、文在寅政権は韓国の民主化が発展した段階と見てしまう。
三浦 過去のフレームでものを考えると、”太極旗集会は年寄りしか参加していない””過激な保守運動家しか参加していない”となる。しかし、いまの太極旗デモは李明博時代の保守の運動とまったく異なっている。日々、その質や性格が変わってきている。
下川 日々、移り変わっていく状況を取材してフォローアップしないといけないが、日本での韓国関連の報道は現実に起きているファクトではなく、過去のフレームから固定したものの見方をしたものが多い。

◆韓日関係
アジアの枠組で考えるべき(下川)
両国は運命的な連帯関係に(三浦)


――戦後最悪と言われる韓日関係のなか、在日同胞社会についてどう考えるか。
 下川 対日感情がどういうふうに形成されてきたのかを検証すべき。日本と韓国との関係を歴史的に精査して再度考察すべきだ。在日の歴史に関してもきちんとしたものが書かれていない。
三浦 在日社会の通史が必要だ。いままで極端な例がすべてであるかのように語られてきて、それらが固定フレームを形成してきた。『血と骨』という梁石日の小説があるが、在日社会の一面にしか過ぎないものが、すべてだと解釈されてしまう。元朝鮮大学の教授だった朴慶植の本も在日社会や北朝鮮を考えるときの基盤を作った。親北韓の立場から書かれた本は、日本からの輸出品として韓国の左派にも利用された。
下川 朴慶植が書いた著作物を考えるとき、彼がどういう人生を歩んだのかということを理解することも重要だ。それが検証できていないというのも問題。一方、過去のフレームをリノベーションしていかなければいけないなかで、現在の社会は急速に変わってきている。在日外国人社会というものを考えても、中国、ベトナム、フィリピンなど在日外国人が増えて、在日韓国人社会も縮小してきている。朝鮮籍がいまはもう3万人程度だ。多様化するなかで、2国間関係だけではなく、アジアのなかで日韓関係を捉え直さないといけない。こじれた日韓関係を修復するためにも”アジアのなかの日韓関係”という視点は突破口になる。2国間だけの狭い関係で考える時代ではなくなってきた。
――アジアという大きな枠で日韓関係を考えるべきとのことだが現在、そして今後の日韓関係をどう見るか。
三浦 小太郎氏
 三浦 冷戦が終わったというのはヨーロッパの話。アジアでは冷戦は続いている。文在寅政権は流れのまま行けば、中国側につくことは明確だ。これは日本にとっては国益上、不利。韓国の一般人が中国につきたいとは思わないけれど、今の政治の流れというのは非常に危険。GSOMIAもその文脈で考えなければいけない。日本では韓国と断交すべきという声も上がるが、どれだけ日本にとってマイナスになるかわかっていないから、そういう論調が生まれるし、逆に韓国での反日運動も、それは日韓関係が安定しているから言えること。いざとなったら、それぞれの国が生き残るためにそんなことを言っていられなくなる。好きとか嫌いとか関係ない。中国という国が今の体制である間は、日韓というのはなんらかの運命的な連帯関係にあると考えるべき。
下川 例えば、韓国には香港情勢の話があまり伝わっていない。韓国にはアジアに関心のある記者が少ない。日本と中国とロシアと米国をなんとかすれば、というのが韓国の政権の考え方のように思うが、メディアも同様でアジアに韓国人情報ネットワークの拠点がないといえるのではないか。企業や個人の進出は日本以上だが、あれだけグローバルにネットワークがあるのになぜか国内に情報が還流されていない。韓国はアジアに進出したことがなく、この10年間で初めてベトナムに進出した「井の中の蛙」。
三浦 韓国では香港の運動を民主化運動、光州事件と結び付けて考える人もいる。左派が自分たちのフレームにいれようとしていて、左派に利用される危険性を含んでいる。

◆2020年展望
短期的展望が見通せない時代(下川)
北韓の核保有は危険なモデル(三浦)


下川 いまの時代は長期的な展望は見通せる。でも短期的な展望はしにくくなっている。韓国でいえば、次の大統領が誰になるかわからない。日本も同じだ。香港情勢や台湾情勢なども急速に変化している。変化が激しく読みにくい。
三浦 香港については習近平さえ、ここまでの抵抗が起こると考えなかっただろう。中国でのウイグル人弾圧の問題も、米国のウイグル人権法案もあって、2~3カ月の間で急速に周知されるようになるなど展開が速い。
下川 本来、メディアは多様であるのならば、多様な情報をきちんと集めて分析しないといけない。大量のデータを総量分析するなどすれば、予測が可能になる。しかし、細かな情報を集めきれていない。多様化が多様化のまま放置されているのが現状だ。韓国に目を向けると、韓国での民主化というものは左派が独占してきた。あるイベントで左派は民主化、右派は自由を叫んできた、と言っていたが、80年代の民主派勢力の最終形が文在寅政権だとしたら、韓国における民主主義の発展というのはどういうものだったのか。
――北韓の動きについてはどう予測するか。
 三浦 北韓の政治目的を一言で表現すれば、南を統一吸収すること。そうでなくとも反米親北の韓国になってくれればいい。文政権の誕生でこういった一定の目的は達成されたと見られる。北韓は核保有国。「小さな国家でも核を保有すれば生き延びることができる」というメッセージを世界の軍事国家に発信した。非常に危険な独裁国家モデルができあがった。
下川 こんな状況が何年も続くのはよくないことは明らか。いまは、情報という血流が流れていない。動脈硬化が起きたときに薬をいれて血液をさらさらにするように、メディアにも薬が必要だ。統一日報のような媒体がその役割を果たすべき。現場にいない私たち2人に話を聞くことより、現地の声を報道すべき。

下川 正晴:ジャーナリスト。元毎日新聞ソウル支局長・毎日新聞論説委員。近現代日本史、韓国、台湾、映画を取材、執筆活動。著書に『忘却の引揚史泉靖一と二日市保養所』(弦書房)など。
三浦 小太郎:雑文家。アジア自由民主連帯協議会事務局長。北朝鮮やアジア諸民族の問題に取り組む。「正論」「Hanada」などに執筆。著書に『ドストエフスキーの戦争論』(萬書房)など。

2020-01-01 8面
뉴스스크랩하기
特集セクション一覧へ
「パンデミック条約」反対会見開く
金永會の万葉集イヤギ 第7回
金永會の万葉集イヤギ 第6回
「パンデミック条約」反対を宣言
金永會の万葉集イヤギ 第8回
ブログ記事
マイナンバーそのものの廃止を
精神論〔1758年〕 第三部 第28章 北方諸民族の征服について
精神論〔1758年〕 第三部 第27章 上に確立された諸原理と諸事実との関係について
フッサール「デカルト的省察」(1931)
リベラルかネオリベか
自由統一
金正恩氏の権威強化進む
北韓が新たな韓日分断策
趙成允氏へ「木蓮章」伝授式
コラム 北韓の「スパイ天国」という惨状
北朝鮮人権映画ファーラム 福島市で開催


Copyright ⓒ OneKorea Daily News All rights reserved ONEKOREANEWS.net
会社沿革 会員規約 お問合せ お知らせ

当社は特定宗教団体とは一切関係ありません