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2019年12月04日 15:59
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キスン便り<第7回> 韓国という名の不思議な異星人

 韓国の不思議を自分なりに研究してきました。始まりは目の前の一世の多くが、自分の父親を筆頭に変な人たちばかりだったというのがあります。
どうして韓国人はこうなんだろうと、原因を知りたくて勉強を始めました。そんな感想はいま思えば、現在の多くの日本人が韓国や韓国人に嫌悪感を示しているのと同じです。私は日本で育ちましたから、自分の中身は日本人です。つまり文化的日本人の自分が韓国を批判していたわけです。この構造はおそらく多くの在日に共通しています。日本人の自分が韓国人の自分を批判し、卑下する構造です。つまるところ自分で自分を差別していたわけです。ですから私が疑問に思っていた韓国の不思議を一つ一つ解きほぐしていく過程は、自分で自分を差別するのをやめる過程だったとも言えます。
最初の疑問は、韓国人の言葉づかいが乱暴でぞんざいで無礼だったということがあります。在日の一世が私を呼ぶときは、他人なのに呼び捨てで命令口調でした。
私の母親は日本人でした。母方の親戚は当然、全員が日本人です。その人たちは私を「さん」付けで呼びます。親類から「さん」付けで呼ばれるのに、近所の一世は私を呼び捨てにします。こいつらどんだけえらいんだ、と私は腹を立てていたものです。
この疑問は韓国語を学んだことで分かりました。韓国語には親戚間の呼称に対等の関係を示す言葉がないのです。一族の中での言葉は常に上か下かです。一族でない場合は、お客様でなければ、年が上か下かで言葉が決まります。つまり相手を「さん」付けで呼びたくても、言葉がないから呼びようがないのです。「氏」とか「あなた」というのはありますが、これは原則として他人用の言葉です。
「さん」というのは対等の関係を意味します。日本では大人が子供を対等の存在として扱います。しかし韓国にはそのような発想自体がありません。だから言葉も存在しないわけです。韓国語に平等の概念がないということは、韓国社会は平等ではないということを意味しています。このことを単純に批判するのは愚かです。先ずは事実をきちんと把握しなければなりません。それから評価ですが、これは難しいものです。
私は韓国語ができると言っても、韓国語を日本の言霊を基本にして使っています。対等の関係で相手を呼びたいのに、もどかしさを感じている自分を見て、そう気がつきました。韓国語を韓国語の言霊で扱うなら、そういう葛藤は起きないからです。この時、一世の姿を思い出しました。彼らは韓国語の言霊で日本語を使っていたのです。韓国語では目下に対する言葉は簡単にいうと、犬や猫に対する言葉と同じです。それを日本語でやっていたわけです。日本語で目下の者を犬猫扱いしていれば、それは無礼極まりない言葉づかいになって当然です。そう気がついて、初めて一世のぞんざいな言葉づかいが理解できました。「しようがねえなあ」と思ったものです。このとき自分で自分を差別していた壁を一つ乗り越えることが出来たと思います。
さて、歴史を学んで疑問に思うことが多々ありました。最初の疑問は、何で韓国人はやられっぱなしなんだ? ということでした。三千年間侵略に耐えて国を守り続けてきたというのは誇るべきことですが、一度も侵略をせず、中国大陸を支配してない、というのは不思議なことです。
韓国人はこれを自分たちは礼節を重んじるからだ、といいますが、違うだろ、と私は思っています。韓国が儒教国家になったのは高麗の時からです。それ以前は礼節がどうのなんて、関係ない時代です。それなのにやり返せるときでもやり返しませんでした。不思議なことです。
李起昇 小説家、公認会計士。著書に、小説『チンダルレ』、古代史研究書『日本は韓国だったのか』(いずれもフィールドワイ刊)がある。

2019-12-04 5面
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