ログイン 新規登録
最終更新日: 2024-05-01 13:21:33
Untitled Document
ホーム > 特集
2019年08月15日 00:00
文字サイズ 記事をメールする 印刷 ニューススクラップ
 
 
【座談会】「古代史万華鏡クラブ」発足
韓半島と日本列島 古代交流史を楽しく学ぶ

 韓日関係の不協和音に食傷気味の人も、ここは遥か昔に思いを馳せて原点回帰を目指すのはいかがだろう。日本列島に卑弥呼が登場する時代、韓半島ではすでに高句麗、百済、新羅、伽耶諸国がそれぞれの文化を築いていた。勢力争いの末、あるいは新天地を求めて、半島から列島へ人の流れが頻繁にあったことは周知である。誰も知る人のいない歴史だからこそ、それを紐解いていく面白さ―その醍醐味に魅了された仲間が集まって、韓日の古代の歴史を楽しく学ぼうと『古代史万華鏡クラブ』が5日に発足した。メンバーを代表して3人が、万古の夢に馳せるそれぞれの想いを語った。

「韓日の温かい交流の歴史」勝俣 優さん
 ―韓日古代史に興味を持ったきっかけを教えてください。ちなみに統一日報文化面担当記者は、『日出処の天子』(山岸凉子・花とゆめコミックス)でした。
勝股 大学時代から奈良や飛鳥が好きでよく行っていました。年をとったら奈良の近くに家を借りて住みたいと思っていましたが、果たせそうもなく心残りです。歴史は好きだったので、今はもうない『歴史読本』や『歴史と旅』といった雑誌を愛読していましたが、たびたび朝鮮渡来文明とか、渡来人の特集をやっていたのが興味を持つきっかけですね。特に飛鳥時代に興味大です。
奈良時代の基本資料といえる平安初期に編纂された『続日本記』には、「昔の飛鳥地方である高市郡の住民の8~9割までが渡来人だった」というような記述がありますが、当時の倭国(大和政権)の首都がこのような状況であることに驚き、ますます韓日古代史研究に熱が入っていきました。日本の古代史を知るということは、渡来人のことを知ることとみつけたり、という心境です。
鈴木 私の場合は『海を渡った先人達』の第1回にも書きましたが、図書館で『東アジア古代史―三国志夷狄伝・訳』(ヒデミフミノ著・新人物往来社)を何気なく手に取ってしまったことですね。「夫余の女王・麻余と依慮」という文字を見たとき、とっさに「倭の女王・卑弥呼と壹与」を連想していました。その真偽を確かめてみたいと、卑弥呼について調べるようになったのです。
もう一つのきっかけは、1987年11月の新聞報道です。それは大阪府高槻市の阿武山古墳が、藤原鎌足の墓だというものでした。その出土品が、新羅時代の王族の古墳から出た品々と類似していると知り、もしかして鎌足は新羅の王族だったのではと考えました。それ以来、鎌足も調査対象人物になりました。
青嶋 まず韓半島の歴史に興味を持つようになったのは、韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』がきっかけですね。『朝鮮王朝実録』の「中宗実録」にわずかな記載があるだけ、しかも医女としか書かれていないのにあれだけのストーリーが作り出せるのはすごいと思いました。余談ですが、長今という名前の前に付いている大という字は、「偉大な」というふうに取られていますが、単純に大きい長今と小さい長今がいて区別するためのものだという説もあるようです。
あとは韓国時代劇にちなんで執筆を依頼されるので、そのつど調べていくうちに深みにはまったような感じで…。金春秋が主人公の『大王の夢』を見たときに、けっこう日本と行き来しているように描かれていて驚きでした。
勝股 「姿顔美しくして、善みて談笑す」というのが、日本書紀に書かれている金春秋の印象です。後に新羅で大宗武烈王となり、外交手腕により三韓統一の基礎をつくるわけですけど、納得できる書見ですね。

 ―古代史万華鏡クラブでは日本史における鎌倉幕府成立前までを古代史として扱うことにしています。そこまでの歴史上で特に興味がある事件または人物を教えてください。
鈴木 645年の乙巳の変(大化の改新)はかなり興味深いですね。中臣(後に藤原)鎌足と中大兄皇子(後の天智天皇)が、王家への謀反を企てているとの理由で蘇我入鹿を殺害したと史書にはありますが、まだ史実として確定されていません。私は韓半島の三国(高句麗・百済・新羅)が大きく関与しているのではないかと考えています。専門家の叱責を受けるかもしれませんが、可能性を広げることはとても楽しいし、文献を調べる原動力にもなっています。
「それぞれの神話に興味」青嶋 昌子さん

あとは、やはり鎌足繋がりになりますが、藤原一族には興味があります。特に不比等でしょうか。いろいろな意味でなかなかの人物だと思います。あ、藤原仲麻呂も捨てがたいです。
青嶋 時代的には私は古朝鮮や倭の神話が気になります。始祖にまつわる卵生神話など、国によって少しずつ違っていますし、その背景なども興味深いです。
人物でいうと、日本書紀にも伊梨柯須彌として登場する淵蓋蘇文(高句麗の将軍)に魅力を感じます。権力欲が強かったので悪役にはもってこいの人物像になってしまっていますが、強いカリスマを発揮していたはずです。
それと新羅のキム・ユシンと百済の階伯の両将軍もいいですよね。そういえば階伯は階が姓なのか、階伯という名前で姓不明なのかどうかも分かっていないらしいですよ。
勝股 私が興味を持っている人物といえば、先ほど話した金春秋、百済系渡来人の系譜で西文氏系高志氏の出自と言われる行基、百済の滅亡に際し4歳の時に渡来したといわれる山上憶良がベスト3ですね。
 ―今後の活動として、あるテーマを決めてそれぞれ予習してきたことを語り、学び合う勉強会を開催したいと考えています。皆さんだったらどんなテーマを設定しますか。
青嶋 私はやはり神話的なということで、古朝鮮から選びたいですね。ドラマ『大王四神記』で桓雄が建国したチュシン国は、檀君朝鮮がモデルとのことでした。殷の箕子が建国した箕子朝鮮や、衛氏(衛満)朝鮮というのもありましたよね。
「本当の歴史を追究したい」鈴木 惠子さん
 鈴木 その辺りは中国との関わりが強そうですね。私は倭国の時代における韓半島との関係性を取り上げたいです。伽耶7カ国のうちの任那を倭国の直轄領としたこととか、日本書紀にも名前を連ねる百済の腆支(日本書紀では直支王)や豊璋などです。ちなみに私は中大兄皇子=豊璋の説なんですけれどもね。
勝股 伽耶研究はしたいですね。渡来人として一大勢力を誇った東漢やまとのあや氏は伽耶のなかの安羅国からやってきたといわれています。もう一方の秦氏も伽耶系。それ以前から倭と親しい関係を続けていた小国家群をぜひ詳しく研究したいです。それと、「任那はあったのか」ということですね。伽耶の中に任那があったといわれていますがハッキリしない。倭の行政府は本当に韓半島の南にあったのか?ということも調べてみたいです。
そのほかですと、あまり知られていないような古代韓日の温かくて意外な交流を取り上げたいと思います。古代史交流秘話というイメージですね。雑誌編集者的にタイトルをつけてみると次のような感じです。「百済25代武寧王の棺」「飛鳥にそびえ立った百済大寺の九重の塔」「遣唐使をはるかにしのぐ新羅使の交流」「あの人もこの人も渡来人―渡来人の紳士録」「母国では消えた新羅、百済、高麗の名が残る日本」などなど。
鈴木 私は資料の原文をコピーして漢字の意味を一つひとつ調べていくのが趣味なんですが、それで「これは定説と違ってこういう意味にもとれるのではないか」というようなことがたくさんでてきたんです。「これは本当にそうなの」などの疑問を出し合って真実の歴史を解明したいですね。
勝股 韓半島と九州の間はわずか海上200キロメートル。対馬とは50キロメートルしか離れていません。この両国に密接な交流がないわけがない。一番の衝撃的事実は、渡来人が伝えてくれたテクノロジーが大和日本の発展につながっているということです。本当に感謝したい。今、韓日関係は相当に悪いですが、原点に返ってお互いを尊敬して仲良くしたいものです。

******************************************

・勝股優(かつまた・ゆう)=自動車専門誌『ベストカー』の編集長を30年以上務める。元講談社BC社長。日本―韓国の古代史ファン。古代史万華鏡クラブ会長
・青嶋昌子(あおしま・まさこ)=日韓文化交流基金の図書館司書を経て、あおい文化交流研究所を立ち上げる。共著に『韓国時代劇で学ぶ人物大事典』(キネマ旬報社)
・鈴木惠子(すずき・けいこ)=古代史を研究して35年。著書に『万葉の歌姫―額田の告白』(角川学芸出版)がある。現在本紙に『海を渡った先人達』を連載中。

2019-08-15 10面
뉴스스크랩하기
特集セクション一覧へ
「パンデミック条約」反対会見開く
金永會の万葉集イヤギ 第7回
「パンデミック条約」反対を宣言
金永會の万葉集イヤギ 第8回
金永會の万葉集イヤギ 第9回
ブログ記事
マイナンバーそのものの廃止を
精神論〔1758年〕 第三部 第28章 北方諸民族の征服について
精神論〔1758年〕 第三部 第27章 上に確立された諸原理と諸事実との関係について
フッサール「デカルト的省察」(1931)
リベラルかネオリベか
自由統一
金正恩氏の権威強化進む
北韓が新たな韓日分断策
趙成允氏へ「木蓮章」伝授式
コラム 北韓の「スパイ天国」という惨状
北朝鮮人権映画ファーラム 福島市で開催


Copyright ⓒ OneKorea Daily News All rights reserved ONEKOREANEWS.net
会社沿革 会員規約 お問合せ お知らせ

当社は特定宗教団体とは一切関係ありません