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2018年08月15日 00:00
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書籍で振り返る文化・スポーツ史

 韓国の文化・スポーツ史の発展を紹介する書籍は、日本語でも出版されている。一般の読者にもわかりやすい内容だ。ここでは、建国から70年の変遷をたどれる書籍を、分野ごとにピックアップ。気になる書籍があれば、ぜひ活字で歴史をたどってほしい。

【食】世界の食文化1 韓国(朝倉敏夫・著/農文協・刊)

建国70年どころか、新石器時代から韓半島の食をひもといている。著者は国立民族学博物館名誉教授の朝倉敏夫。単に料理や食卓の描写ではなく、食を通して韓国人、あるいは韓民族が何たるかを探る。何を食べるかだけでなく、いかに(どのような雰囲気で)食べるかという視点はおもしろい。
輸入品に押され、国内で、ましてや家庭でキムチが漬けられることは少なくなった。消費も右肩下がりだ。大げさにいえば韓国食が危機を迎える今、食と韓国人の関係を見つめ直すにはうってつけだ。

【体】コリアンスポーツ<克日>戦争(大島裕史・著/新潮社・刊)

韓国のスポーツ事情に関心のある読者なら、一度は手に取ったことがあるに違いない。著者は、韓国スポーツに精通したライターとして第一線を走ってきた大島裕史だ。
タイトルこそ刺激的であるが、いわゆる「韓国人は反日意識むき出しで日本に向かってくる」というステレオタイプに満ちた内容ではない。確かにそういう時代はあったかもしれない。しかし、それは笑って振り返られる昔話になりつつある。
初版から10年。大島の手によって丹念に綴られた歴史は、いまだ色褪せていない。

【芸】K-POP新感覚のメディア(金成政・著/岩波新書・刊)

「2017年以降における日本でのK―POPの人気は、これまでの韓流とは一線を画するグローバルな現象」という著者の指摘は鋭い。一方、「同時にそのグローバルな現象としてのK―POPのあり方は、そもそも日本との関係なしではとらえきれない」ともいう。
著者は「K―POP」の定義づけも試みている。ここから先の説明は本書に譲るとして、建国から70年で大きく変わった韓国大衆音楽のグローバル化と、韓国らしさの追求がどのように進むかが、今後の趨勢を左右するだろう。

【映】韓国映画100年史(鄭琮樺・著/明石書店・刊)

韓国で映画館に足を運ぶ1人あたりの年間平均回数は4回を超え、世界最高水準だ。ファンが産業の発展を支えるのは常であるが、その歴史を、単なる作品紹介に留まらずにひもとく一冊。
本書は、07年に韓国で出版されたものの訳書である。それ以降の記述はほぼないのだが、韓国映画史を知る上で適材だ。K―POPと同様、映画産業でも黎明期には日本の手法を取り入れ、後に米国流を取り入れた。興行面で成功する映画が増え、それが優れたクリエーターを育てる糧となる好循環が生まれている。

2018-08-15 8面
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