進歩を前面に出した学生団体
健全な政治意識養成に欠ける
「全国中高等学生進歩ドンアリ(サークル)総連合会」(中高生進ドン)が7月28日に公式に発足した。中高生進ドンは、朴槿惠前大統領を退陣に追い込んだ一因である中・高校生によるロウソク集会の代表団が結成したものだ。現在、全国の中高校生350人ほどが参加しているとみられる。
中高生進ドンのフェイスブックには、すでに「夏の教養キャンプ」を行った写真が掲載されている。中高生進ドンは、発足当日の記者会見を通じて「ロウソク中高生の帰還」というコンセプトのもと、18歳選挙権と14歳の教育監選挙権保障、高校単位制と自由学期制の拡大施行支持、南北中高等学生会談の開催などを要求した。
チェ・ジュンホ中高生進ドン代表は「学生が各自所属する学校で政治的・社会的懸案をもって、他の学生と一緒に活動したり、集会を開いたり、キャンペーンを行ったりできる。まだ時期的に少し早いが、青少年に政党加入の可能性が開かれるよう活発に議論を試みたいと思う」と語った。
まだ人格形成の途中である中高校生が進歩を前面に打ち出した団体を設立したことに懸念の声が高まっている。だが、政界で選挙権年齢の満19歳から満18歳への引き下げや、政党加入年齢制限の廃止など一連の動きを見ると、彼らの主張も理解できないわけではない。
さらに文在寅政権は、100大国政課題で青少年の政治参加権利を拡大すると明らかにしている。左派系教育監が多い市・道教育庁も、青少年の参政権拡大のための各種政策を考案しているとみられる。
ソウル特別市教育庁は、今秋の発表を目標に準備中の「ソウル教育庁3カ年(2018~20年)の学生人権総合計画」草案には「学生参政権保障」が主な内容として含まれるという。特に左派性向の教育関係者は、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国のうち、18歳以上に選挙権を与えていないのは韓国だけだと強調している。
教育監選挙の場合は、満16歳から選挙権を与えるべきと主張する左派系の曺喜昖ソウル教育監、李在禎京畿道教育監もいる。しかし、選挙権年齢を引き下げることには反発の声も少なくない。
教育関連団体の関係者は、「選挙年齢の引き下げは、政治・理念的対立と葛藤が深刻で、政治構造と政治意識が先進化されなかった韓国で、判断力が不足している青少年に現実をそのまま転嫁させるだけでなく、正しい政治意識養成にも役立たない」と述べた。
保護者の反対はより強い。保護者の一人は、「大学入試など人生に大きな影響を与えるさまざまなことを控え、勉強に集中しなければならない年齢の学生にとって集中力が分散されないか心配になる」とし「多くの意見を聞いて学習するタイミングで、特定の政治的意見のみに感化され偏った見方を持つようになることも懸念される」と語った。また「教育当局の政策が頻繁に変わり、さまざまな問題を引き起こすだけに、政治に気をとらえ、学習環境の悪化や停滞などが心配だ」と付け加えた。
中高生進ドンの活動に、全教組だけは賛意を表明している。だが、中高生進ドンのフェイスブックを見ていると、まるで北韓の宣伝団体のような印象を受ける。団体のロゴや赤い文字など、北韓を連想させる。さらに中高生がどのようなルートで資金を集め、発足直後に「夏の教養キャンプ」まで行ったのか疑わしい。なにものかの指示・援助を受けているとしか思えない。 |