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2016年06月29日 08:06
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瞻星臺=編集余話

 英国がEUを離脱することになった。複数の国が共同で地域の方針を決めていくというEUの方式は、世界に先駆けるモデルであるはずだった。独仏を軸とした小さな連合体から成長を続けてきたEUにとって、初めて経験する加盟国の離脱だ▼東アジア共同体という構想がありながら、いまだに実現に向けた可視的な進展がない日本では、英国のEU離脱はショックをもって報じられた。だがEUは近年、難民対策やギリシャ支援などをめぐって意見をなかなか一致させることができなかったこともまた事実だ。利害の不一致は、理想だけでは乗り越えられないということか▼「凧は風に向かっている時に一番高く上がる。乗っている時ではない」。英国の名宰相、ウィンストン・チャーチルの言葉だ。英国の離脱は、EU瓦解のきっかけになるという見方さえある。英国以外にもEU離脱が議論になっている国は少なくない。EUにとっては正念場となるだろう▼いや、正念場を迎えるのは英国かもしれない。離脱が決定的となった瞬間、為替や株価は激しく動いた。いずれも英国の未来は暗いという予想に立っての値動きである。首相は辞意を表明し、「残留派」が多数を占めたスコットランドでは再び英国からの独立に向けた機運が高まっている▼チャーチルの言葉は、分裂した英国国民こそ思い出すべきものなのかもしれない。身近なところでも「分裂か統合か」と問われる昨今。もちろん私たちに問いかけるものも小さくはない。

2016-06-29 1面
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