先月22日、朴槿惠大統領が明らかにした「北韓を除く5カ国協議を検討すべき」という5カ国協議案が、ロシアの反対で暗礁に乗り上げている。朴大統領の提案が出た当日に反対の立場を表明した中国に続き、ロシアも公式に拒否する姿勢を示した。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、「(北韓の核問題解決の)唯一の道は、6カ国協議を再開すること」(1月26日)と述べた。それだけにとどまらず、北韓との貿易を10倍程度増やすとの考えも明らかにした。韓国ではその直後、政府が尹炳世外交部長官のロシア派遣を検討するとの情報が流れたが、ロシアを説得するのは現実的に難しいと見られている。
ロシアは韓国を相手に、より積極的な外交法を選んだ。アレクサンドル・ティモニン駐韓ロシア大使は2日、米国のTHAAD(高高度ミサイル防衛)システムの韓半島配置について、韓国の記者団との会見を開き「韓露関係に否定的な影響が及ぼさないことを願う」と釘を刺した。THAADの配置については、「北東アジアの平和と安定、韓半島の核問題の解決には役立たないだろう」と主張した。
ティモニン大使は、朴大統領の5カ国協議提案にも再度反対の立場を表明した。
「会談の構図は、北韓の参加なしでは効力がないと見ている。5カ国の構図は、北韓のさらなる孤立を招きかねない」
韓国国内では、5日の午後9時から朴大統領と習近平中国国家主席が45分間の電話会談をしたことをめぐり、中国が5カ国協議案を受け入れるのではないかとの期待が広まっている。また、国連をはじめとする国際社会の対北韓制裁が実効力を持つとの観測もある。大統領府は、朴大統領が習主席に対し、北の核を許さないという中国の意志を、言葉ではなく行動で示さなければならないと強調したことを明らかにした。
5カ国協議の可能性が高まっているという主張の背景には、6カ国協議の中国首席代表である武大偉・韓半島事務問題特別代表が平壌を訪問していた2月2日に、北韓が長距離ミサイル発射計画を国際電気通信連合(ITU)などに通知したことなどがある。面子をつぶされた形の中国側が、北に相応の対応をとると見られるためだ。
こうした韓国の一部の期待とは裏腹に、5カ国協議の提案以降、韓半島周辺情勢は明らかに、韓日米と中露という伝統的な同盟対立の構図に回帰している。北韓の逸脱行為を制裁しようという韓日米と、それに反対する中露である。
中国外交部は5日夜、韓国政府が発表しなかった韓中首脳の通話内容を公開した。習主席は「韓半島に核があってもだめだし、戦争が発生してもだめだ。関係する当事国が韓半島の平和安定を維持するため、現状に冷静に対処することを望む」などと述べ「対話を通じた問題解決のために最善を尽くしたい」と発表。習主席は、朴大統領の対北韓制裁要求を正面から拒否したのだ。
中国、ロシアの障壁をクリアし、北韓に対する制裁を実行できるのか。韓国は容易でない状況に直面している。(ソウル=李民晧) |