北側のいわゆる「光明星4号」発射事態を受けて、国防部はTHAAD(高高度防衛。サード)体系の韓半島配備問題に対して韓米間の協議を始めると発表した。安保分野専門家たちは以前から、THAADミサイル体系が北側のミサイル攻撃にさらされている韓国として現実的な迎撃手段であることを指摘してきた。だが、中国との関係を重視してきた朴槿惠政府は、安保専門家たちや世論の要求を無視してきた。しかし中国側は、先月の水爆実験後も北側への強力な制裁どころか「韓半島の非核化」を強調し、逆に韓国を牽制。7日の韓米間の協議開始に対しても、中国政府は駐中韓国大使を外交部に呼んで抗議した。THAAD体系の配備が東アジアの戦略構図の変化につながるか注目される。
中国の覇権主義 韓国の覚悟は
米韓両国は7日、THAADを韓国に配備するための協議を始めると発表した。THAADは在韓米軍が韓国内の配備を求め、水面下で交渉してきたミサイル防衛体系だ。
韓国政府はこれまで、公式に交渉をしていることを認めなかった。中国の反発があったためだ。だが、北韓が1月に水爆実験を強行したことを受け、朴大統領が交渉開始を示唆。7日に北韓が長距離弾道ミサイルの発射実験を行ったため、両国は公式に話し合いを進めると発表した。
THAADは、北のミサイル迎撃を目的としている。ところが、韓米の発表に反応を示したのは、北韓ではなく中国だった。
中国はTHAADのレーダーが中国国内も監視できるとして韓国を牽制していた。中国外務省は発表直後、「韓半島情勢をエスカレートさせる」と述べ、韓米に対し「慎重に問題を処理するよう促す」とのコメントを発表。中国側はさらに、金章洙・駐中韓国大使を外務省に呼び出し、「厳正な立場」を伝えたという。
北韓の核・ミサイルによる挑発は、今まで韓国内で「北を刺激するな」という反応を呼んできた。しかし近年は国民の意識が変わり、徹底対応を求める声の方が大きい。「核やミサイルの実験は朴大統領への”プレゼント”だ」という安保専門家は少なくない。
韓米がTHAADの韓半島配備を決定するのか、またいつ配備するかは未定だ。ただ、協議を始めること自体が、北を擁護し続ける中国には打撃になる。
中国は、在韓米軍が中朝国境まで進出することを恐れてきた。それが北を支える最大の理屈だった。THAADが配備されれば、米軍の「目」は中国軍を監視しやすくなる。韓国は自国の防衛態勢強化だけでなく、中国の変化を促すことも視野に入れて協議を進めることが求められる。 |