1年前と同様、北韓の人権状況に関する決議文が、国連総会で採択されることになりそうだ。国連マルズキ・ダルスマン特別報告者は10月末、北韓の人権状況についての報告書を、国連総会の委員会に提出した。
|
昨年12月の国連総会で、北の人権決議案は初めて採択された |
ダルスマン氏は報告書で、北韓の政治犯収容所に言及した。5カ所の強制収容所では最大で12万人が拷問を受け、労働をさせられているという。
報告書は、外貨稼ぎのために北韓の労働者5万人以上が強制労働をさせられている点も指摘している。彼らが海外で稼ぎ出す収入は、年間12億~23億ドルとの推算だ。1日の労働時間は20時間に及ぶこともあり、休みはほとんどなく、収入は国家に吸い上げられているという。
こうした内容は、改めて明らかになったものではないが、北の人権決議案が国連安保理で扱われることは、小さからぬ意味を持つ。
国連は昨年12月18日の総会で、人権侵害の責任者を国際刑事裁判所(ICC)に付託することなどを盛り込んだ人権決議案を可決。同22日には、安保理も人権状況を正式な案件として採択した。いずれも法的拘束力はないが、国際社会に向けて北韓の人権状況を知らせることになる。
北韓の国連大使は決議案を全面的に拒否するという従来のスタンスを維持している。
「深刻かつ組織的な人権侵害」と、決議案を提出した欧州代表はいう。今年も多くの国が、北韓の人権状況に大きな関心を寄せている。今年の決議案も安保理に対し、責任者のICC付託を盛り込むとみられる。
11日には、北韓の人権状況について調査している国連事務所が置かれたソウルで、過去最大規模の国際大会が開かれる。「ソウル人権対話」の創立大会だ。
大学や民間団体が主体となり、北韓問題を専門としない著名な人権活動家も集まる。北の人権問題が、「専門外」の活動家によって、より広範に知られることになると主催者らは期待している。韓国政府は半官半民の定例国際会議に育てる構想も持っているという。
国連決議案は、20日までに国連第3委員会で採決され、12月中旬に国連総会で投票にかけられる見込みだ。 |