イスラム過激テロ集団のIS(イスラム国)に拉致された湯川遥菜さんと後藤健二さんが殺害された。西欧文明への憎悪から罪のない人を虐殺した蛮行は、いかなる理由でも正当化できない。この反文明的な蛮行に怒りを感じない人は正常とはいえないだろう。 ところが、日本にはこの許せないテロ犯罪を容認・擁護する勢力がいる。朝総連など、平壌に追従する従北勢力だ。朴槿惠政権をファッショ独裁政権と糾弾し、日米が平壌を敵視すると非難してきた従北派(朝総連や韓統連)は、アルカイダをはじめ西欧社会に対するテロを非難しない。 従北派は今まで反米・反西側テロに沈黙し、国際テロ組織を非難したことがない。彼らはなぜ残虐なテロに沈黙するのか。従北派がテロリズムを非難できないのは、彼らの主人である平壌が指示・指令する以外の行動ができないからだ。何よりも、彼らの”主人”である金正恩体制こそ、半世紀以上にわたって世界中のテロ組織を支援し、連帯し、共同作戦を行ってきたテロ集団・テロ国家だからだ。 少なからぬ民団員が朝総連と韓統連を同じ同胞団体と考える。だが、従北・反国家団体は「生活者団体」でもなく、同じ同胞と考えてはならない。統進党解散や李石基内乱事件でも、彼ら従北派は統合進歩党と李石基を庇護している。つまり、朝総連と韓統連は平壌の指示を受ける革命組織であり、テロ集団の手先なのだ。 北韓は1960年代から第三世界を中心に、全世界の紛争地域にテロを輸出してきた。オサマ・ビン・ラディンをはじめ、あらゆるテロ集団に必要な訓練を提供した。朝総連はその平壌の支援基地の役割をはたした。 日本は6・25戦争(韓国戦争)のとき、国連軍の後方基地だったが、休戦で熱戦が冷戦に変わって戦場が日本に拡大すると、南北対決の主戦場になった。朝総連は、北が敵区(自由世界)に構築した最強の工作基地、朝鮮労働党の前方司令部となった。 朝総連は当初から労働党の補給基地、前哨基地として組織された。朝総連系の学校は、革命の後継世代育成のため優先的に投資・管理された。 民団は最初から組織面で劣勢だった。民団の闘争力は、北送事業阻止闘争、国籍および永住権取得運動、朝総連と韓民統(韓統連)の対民団工作を粉砕する民団正常化闘争過程で作られた。民団が組織力の劣勢を克服し、朝総連に攻勢をかける転機は墓参団事業だった。韓国の発展で南北の国力が逆転し、その格差が拡大する時期だった。 ところが韓日国交正常化後、韓国国籍取得者が急増。朝総連はこれを対韓工作に最大限に活用した。北が韓国に迂回浸透させた工作員の約4分の3が日本経由だったといわれる。 1974年に日本に潜入して合法的な身分を獲得した後、申順女として1980年3月に永住帰国し、10年間韓国で「南韓朝鮮労働党中部地域党」工作を指揮した工作員、李善実も日本を拠点とした一例だ。 民団は70年代初めに朝総連と韓民統の対民団工作に対応した後は、組織整備が行われず、朝総連の対南工作を抑えられなかった。東西冷戦で社会主義の敗色が濃くなると、平壌は階級闘争の代わりに民族共助戦術(「わが民族同士」)に転換し、南北韓の国連同時加入や、左翼政権による6・15共同宣言などを引き出した。朝総連を圧倒していた民団の雰囲気と組織力は、自らが「生活者団体」を宣言したことで衰えた。 統進党解散にともなう汎政府的後続措置として在日従北勢力への対策も必要だ。(続く) |