「関東脱北者協力会」(木下公勝代表)が23日、東京の朝総連中央本部前で「北韓の人権侵害の最高責任者の金正恩を国際刑事裁判所(ICC)にまわせ」などと抗議行動を行った。同団体は北送事業で北韓に渡り、現在は脱北して日本に住んでいる人たちの会だ。抗議行動には木下代表ら脱北者5人のほか、支援団体のメンバーも集まった。脱北者の中からは「私たちを騙して北に送った総連の幹部らも責任をとるべき」との声も聞かれた。
| 総連本部前で抗議する脱北者ら(撮影=前川恵司) | 関東脱北者協力会のメンバーたちは、朝総連中央本部前で「人権侵害の総責任者金正恩を処罰しろ」「対南挑発を謝罪し、核実験は放棄しろ」と書かれた横断幕を掲げた。
国際的な状況は、金正日や金正恩の人道犯罪を裁くべきとの方向に動いている。今月17日からスイスのジュネーブで開かれている国連人権理事会では、北韓の人権状況について1年間調査してきた国連の事実調査委員会(COI)が報告書を提出。北韓の強制収容所や拉致問題など責任者をICCに提訴するよう、国連人権理事会に付託する内容が盛り込まれた。
18日には、日本とEUの共同決議案も国連人権理事会に提出されて現在審議中。決議の作成には、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」など、国際NGOの協力があった。COIやNGOの聞き取りには、日本国内の脱北者も協力した。COIが金正恩を人道に対する罪でICCに提訴すべきと勧告したのは、これら諸団体が以前から強く要求してきた核心的内容だ。
この日、抗議活動に参加した「NO FENCE」や「守る会」の関係者たちも、北の「金氏王朝」の権力者たちを国際刑事裁判所にかけるよう主張してきた。
特に北送者として生き地獄の北韓できびしく監視され、身内などがたくさん強制収容所へ送られるなど想像を絶する暴圧を経験した脱北者が、自分たちを騙して北韓に送り込んだ朝総連に怒りをぶつけたのは、はじめてのことではない。
同族を大量虐殺した歴史上最悪の独裁体制だけでなく、その”尖兵”となった朝総連の核心幹部や工作員たちも、金正恩同様に国際刑事裁判所に提訴されるべきという声は高まっている。 |