2月20日から25日まで予定されている南北離散家族再会行事が、中止になるという懸念が提起されている。北韓の国防委員会は6日、再会予定期間中の24日から始まる韓米合同軍事演習「キー・リゾルブ」を問題視。「離散再会合意を再考することもある」との声明を発表した。前日の5日には南北赤十字が実務者協議を開き、再開の合意に至っていた中、1日で発言を翻した北韓。いつもの揺さぶり戦術だ。
北韓の国防委員会は「キー・リゾルブ」実施に加え、再会予定地の金剛山地域の積雪量が1メートルを超えたことを再考理由に挙げた。信じられないほど降った雪は、離散再会を妨げる”伏兵”になりうる。
韓国政府は金剛山地域の施設点検のため7日から現地代表団を派遣したが、驚異的な積雪により、点検作業に支障をきたすほどだったという。平壌から出発した北韓側代表団も来る予定だったが、現場には姿を見せなかったとのことだ。
しかし韓国政府は、離散再会行事を決行するため、最大限の努力はしている。準備への支障をなくすため、大雪対策として除雪車を派遣するということだ。再会が実現すれば、2010年11月以来、3年3カ月ぶりとなる。
朴槿惠大統領は、北韓側が「離散再会行事の再考の可能性」に言及した翌日の7日、大統領府の会議で「合意翌日に、韓米合同訓練を口実に(北韓が)合意履行を再考することもある」と北韓を非難。「北はこれ以上離散家族の胸に大きな傷を与えるべきでない」と述べた。
統一部の柳吉在長官も「合意は必ず守られなければならない」と、再会実施を求めた。与野党も一斉に遺憾のコメントを表明し、北韓に合意の履行を促した。
最近、韓国政府内で起きている一連の動きには焦りが見える。旧正月(1月31日)の年初から北韓に離散再会行事を持とうと提案し駆け引きしており、北韓との合意後には何とか行事を成功させようという姿勢が鮮明になった。朴政権になって初の南北合意行事であるとの観点からアプローチしている雰囲気だ。
しかし、そこまで早急に進めるべき事案なのかという疑問の声もある。氷点下10度前後の厳しい寒さに加え、豪雪まで降り積もった金剛山に、平均年齢80歳を超える離散家族を送る緊急性は何なのかということだ。
北韓は昨年9月にも秋夕(旧盆)の再会をわずか4日後に控え、突然キャンセルしたことがある。今回も再会に消極的な雰囲気があちこちで感知されている。今回の大雪も中止の口実として使い、「延期しよう」と韓国にいつもの揺さぶりをかけてきたのだろう。
北韓が南北実務接触で合意された離散家族再会を翻したことにより、北韓が失うものは多いというのが、今のところ支配的な見方だ。北韓が昨年に続いて離散家族の再会を霧散させたことで、今後の南北対話はもちろん、周辺国との対話も途絶えるという分析もある。
一方、韓国政府は離散家族再会に熱を上げている。常時再会や手紙の交換、ソウルと平壌を往来しながらの再会などは提案することもなく、正月のような祝日に再会をぶつけてくるのは、国民への”演出効果”を見越したことと捉えられても仕方ない。再会のあり方を根本的に改善することが重要であり、今のような政治的打算に基づく再会は、当事者にとって歓迎すべきものではない。
一方、北韓が中止を示唆してゆさぶりをかけてきた理由の”本命”と見られる「キー・リゾルブ」演習について、国防部は「合同軍事演習は、毎年実施しているものであり、離散家族の再会とは関係なく通常どおり実施される」と、予定どおり実施することを明らかにした。 |