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2013年07月10日 02:34
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【特別インタビュー】 草川 昭三氏 「地方参政権はもう一度地域から声おこせ」
在日韓国人とともに戦ったサハリン残留韓国人問題

 21日に投開票が行われる参議院議員選挙。韓国と日本の関係が悪化する中、憲法や経済などの国内問題が争点となっている。ここで改めて日本の政治と在日韓国人(在日外国人)政策のあり方などについて、同問題に積極的な関心を示し、実績を残してきた政治家に話を聞いた。参院選での引退が決まっている公明党の草川昭三議員と、昨年12月の衆議院議員選挙で政界を退いた元民主党議員の中野寛成氏だ。両氏が考える韓日関係や、在日韓国人のあり方とは…。

 政治家を志されたきっかけは。
 「私が地元の造船所に就職が決まったのは、戦後すぐでしたが、当時は食糧事情が悪く、栄養失調のため入社は昭和21年となりました。白米を支給するとのことだったので、入社を決めました(笑)。当時の造船所の労働環境は劣悪で、1隻作るたびに必ずといっていいほど死亡事故が起きていました。労組運動に入ったのですが、本格的に関わったのは昭和25年以降、職場の共産党員が追放され、若手が労組に参加せざるをえなくなったためです。労組活動の延長線上で、生活や福祉の向上が必要だと痛感しました。そのためには政治を改革しなければと考えたのが、政治家を志したきっかけです」
草川 昭三氏

 政治家としての信念は。
 「誠実に、小さな声を大切に拾い上げていこうという気持ちでやってきました。政治を志したころの私は社会党書記長だった江田三郎先生に心酔しておりまして、江田先生は民社党や、公明党とともに『社公民』で政権を取ろうとしていました。そのようなときに公明党に誘われました。公明党は当時、支持層である創価学会以外からも人を登用していこうと考え、労働界出身の私にお声掛けをいただいたのです。最初の当選は昭和51年の衆院選。無所属で立候補し、公明党の推薦をいただきました」
 民団とのかかわりは。
 「初当選直後に、地元の愛知県・小牧市に住む在日韓国人男性から相談を受けたことでした。当時の在日韓国人は、納税の義務は果たしているのに、国民金融公庫や住宅金融公庫の利用ができず、国体にも参加できませんでした。それ以来、真の日韓友好のためには在日韓国人のあらゆる差別を撤廃しないといけないと訴えてきました。この3つは比較的早く解決しました。その頃はよく日韓友好のためには両国を知る在日韓国人ががんばらないといけないと話していました。遊び歩いていてはだめだとも」
 民団とともに活動したといえば、サハリン残留韓国人問題に在日韓国婦人会の方々と取り組みましたね。
 「81年秋、婦人会の河京希さんや現・民団中央本部副団長の呂健二さんらにともなわれ、大邱在住の婦人が私の事務所に来室され、ご主人がサハリン(旧樺太)に行ったままいまだに帰らないと涙ながらに訴えられ、大きな衝撃を受けました。これが戦時中に韓国からサハリンの炭鉱などに動員され、戦後、冷戦の谷間に置き去りにされ、現地にとどまることを余儀なくされたサハリン残留韓国人問題との出会いでした。その後単身サハリンに渡り、サハリン州のソ連共産党幹部と交渉し、日本における親族再会の道を開き、多くの方が東京や新潟で韓国の家族と数十年ぶりの再会をはたしました。運動を始めた当初は、大韓赤十字でさえこの問題を十分に把握していませんでした。留守家族の方でさえ『日本人がここまでやってくれているのに、あなた方はなぜ関心もないのか』と赤十字に対して憤っていました。『草川さんと婦人会の力で韓国社会に訴えてほしい』とも言われました。大邱で開かれた離散家族の集会では、日本人だということで怒号を浴びせられましたが、その時に擁護してくれたのが在日韓国人の方でした」
 韓国の政界とも深い関係がありますね。
 「韓国の議員との交流のため、87年に訪韓した際、青瓦台で韓国には盲導犬がいないと聞き、盲導犬育成のためにご協力することになりました。後に国務総理をお務めになった浦項製鉄の朴泰俊会長が韓国側の窓口になっていただきました。まずは盲導犬を韓国に差し上げようということになり、88年春、南原から視覚障害者の金在明さんが来日し、約2カ月間、名古屋の盲導犬訓練センターで盲導犬とのトレーニングを受けていただきました。このときは婦人会や青商の皆さんが通訳をはじめキムチなどの差し入れをしてくださり、本当に助かりました。余談になりますが、金さんは、この年ソウルで開かれたパラリンピック開会式で日本の盲導犬とともに入場行進し、韓国の盲導犬を世界にアピールしました。ほんの25年ほど前まで韓国では盲導犬を知る人も少なく、ホテルや公共施設に犬が入ることなどありえなかったのですが、視覚障害者と盲導犬への理解が進む一助になったのではないかと自負しております」
 現在の日本における外国人政策については。
 「やはり地方参政権問題でしょう。公明党は冬柴さんを中心に法案を作り、委員会で趣旨説明もしています。問題は日韓議連です。森喜朗さんが会長だったときに地方参政権付与が盛り上がりましたが、ソウルでの会議では『自民・民主ともに賛成だ』と威勢よく話すのに、日本に戻ると『難しい』というばかりでした。情熱はあったんですがね。当時議員立法でやろうと訴えていたのが公明党ですが、実現しなかったため冬柴さんが日韓議連の副会長職を辞すに至りました。日韓議連は一時期活動が低迷し、今も当時ほど活発ではありません。その結果、先に外国人への地方参政権付与に動いたのは韓国でした。日本では民主党政権でもできませんでした。民団の方に何とかがんばっていただきたいのですが、民団だけでは孤立してしまいます。もう一度地域から声を起こすようにしてはどうかと思います」
 昨今の韓日関係はぎくしゃくしていますね。
 「これまでもぎくしゃくすることはありました。そのたびに両国の立場を熟知した政治家が水面下で動いてきました。残念ながらいまは日韓・韓日両議連をはじめ議員外交があまり機能しているとはいえません。一方で、経済や民間交流は盛んですね。ここでお伝えしたいエピソードがあるのですが、サハリン残留韓国人の初再会の際、韓国の留守家族に私立学校協会の副会長になった方がおられました。彼は『(サハリンに残された)兄を日本に奪われた私は感情的には反日です。しかし、好き嫌いだけで物事を判断するのは間違いだ。いいものを見極めていくことが大切であり、日本の私学制度のいいところは学びたいと思っている』とおっしゃっていました。彼は教職員を引率してたびたび日本の私学を訪問されています。こういうときこそ感情に流されず、人的交流を進めていくべきだと思います」

草川昭三(くさかわしょうぞう)1928年、名古屋市生まれ。市立第一工業学校(現・市立工芸高校)卒。造船所の労組委員長から衆議院議員を経て参議院議員に。

2013-07-10 3面
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