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2013年04月24日 00:00
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消えゆく開城の灯 
北=家族含め20万人の生活に打撃  南=投資のわりにメリット少なく

 実質的な操業停止から3週間。開城工業団地は、今後どうなるのだろうか。今のところ先行きは見えない。北韓当局が韓国人労働者の開城入境制限を撤回する意思はないように見える。工団からの人とモノの搬出はできるが、工団への搬入はできない状況で、工場が操業できるはずはない。現在の入居企業123社のうち、常駐者が一人も残っていない企業は40社以上。普段800人を超えていた工団内の韓国人労働者は100人台にまで減った。5万4000人の北側労働者は完全に姿を消した。工団施設に残っている南側の労働者は、食糧さえも底をつき始めており、このままでは全員撤退は避けられない状況だ。(ソウル=李民晧)
北韓自ら止めた“ドル箱"事業
韓国に引き上げてくる開城工団入居企業の車列。後方のゲートには「統一の関門」と書かれている(連合ニュース)
 開城工団は2004年、南北当局間の合意によって操業を始めた、分断後初の南北合作工業団地だ。韓国側が全額投資して技術管理・監督も100%行い、生産職労働者のみ北側から調達する形式をとった。そこには韓半島の平和ベルト構築や、統一に向けた南北合作プロジェクトという象徴性があった。
 韓国は金剛山観光地で起きた北韓哨兵による韓国人観光客・朴王子さん射殺事件(08年)や天安艦爆沈事件(10年)、延坪島砲撃(10年)が起きた際にも工団運営は継続した。そのたびに、国内では開城工団からの撤収が提起されたが、工団が持つ南北交流の最後の砦としての特殊性と政経分離の原則を適用し、工団の正常稼働を支えてきた。
 南北間にどれだけ大きな事件が起きても、例外的に残ってきた開城工団。それを閉鎖の危機に追いやったのは、最大の受益者である北韓政権だった。反米・反韓強硬姿勢をとり、緊張局面を高めてきた北韓が工団停止というカードを引いたのだ。
 金大中政権で統一部長官を務め、開城工団造成につながる6・15宣言採択の実務責任者だった朴在圭・慶南大総長は、北韓の行動に対して「南の開城工団を、金正恩のドル箱と呼ばれることに誇りを傷つけられたようだ」と指摘する。韓国は北韓の一方的な措置として始まった開城工団の中断危機発生後、事態収拾のための南北対話を提案した。韓国政府は批判を受けてまで工団の運営を再開させるために尽力したが、北韓から帰ってきた答えは「賊反荷杖」(盗人猛々しい)だった。
 韓国の交渉提案を受けた朝鮮中央通信は18日、北韓の対南機構である祖国平和統一委員会スポークスマンの談話を発表する形で「南朝鮮当局は開城工業団地問題だけを切り離して策略を使おうとしている」と述べ「開城工団を危険な戦争発生源として作りながら、『運営正常化のための対話』をどうこう言うのはただの饒舌」と一蹴した。祖平統は、敵対行為が続くかぎり、南北対話は決して行われないとも明らかにした。これに先立ち韓国側の入居企業代表団が、残っている従業員のために食糧と医薬品の搬入申請を行ったが、北当局は許可しなかった。
国際ルールを破り 20万人の雇用を奪う
 北韓の行動に基づいてみれば、開城工団を議題に南北対話をしないという強硬な意志がうかがえる。北韓は、南北を含む対外合意を何度も反故にしてきた“前歴"がある。
 金正恩政権は、自分の管轄下にある北韓の労働者、家族を含めると20万人の住民の雇用を奪ってしまった。いくら独裁権力であっても、今の地球上にここまで多くの財産と仕事を思いのままに蹂躙できる政権はない。住民への蛮行と国際ルールに反する北韓政権の過去の行動を考慮すると、開城工団の将来は暗い。
 開城工団は「暫定」という形で再開されるという希望の余地を残しているが、工団が第2の金剛山観光のように、いつ北韓に没収されても驚くことではない。
 工団を稼働するには、事業者の技術ノウハウや原材料、電気の供給を得なければならないが、北韓が独自で運用するには能力不足という分析が支配的だ。
 北韓の立場としては、さらに懸念すべきことがある。開城工団は韓国からの“外資"を投入した共同事業だ。それが頓挫したとなれば、中国をはじめとする外国資本の投資誘致にも影響が出る。
 韓国国内では、北韓が開城工団を圧力から対話局面に変える出口戦略の手段として使おうとしているという見方もある。ソウル大学統一平和研究所の張容碩研究委員は「北韓が最近の戦争の雰囲気を変えるため開城工団を活用する可能性がある」と述べている。
年間収益、南は70億ウォン 北は1000億ウォン
 今回を機会に北韓の態度を改めさせるためにも、韓国人労働者を全員撤退させ、工団を閉鎖したほうがいいという見方も存在する。
 経済的観点から見ると、1年間で韓国企業があげる営業利益は70億ウォン余りだが、同期間に労働者の賃金名目で北韓政権にわたる金は1000億ウォンに達する。設備投資を含めて約3兆ウォンが投入された大規模なプロジェクトであることを考慮すると、韓国側の収益率は驚くほど低い。さらに、投資リスクが高い点に配慮し、開城工団への進出企業には政策的な金融支援があった。韓国が経済的に得る利益は、実質的にゼロといっても過言ではない。北韓にとっては得るものが大きいが、韓国には少ない事業なのである。
 工団で使用する電気や燃料類、製品の部品素材、労働者の食費、通勤バスの費用なども完全に韓国企業が負担している。一部では、政策支援金と金融機関の低利融資を受けるつもりで開城工団への進出をしたが、負担が大きすぎて事業を中断した企業もあった。
 これらの副作用は、開城工団のスタート時から予想されていたことだ。政府内にも懸念の声はあったが、金大中政権が掲げた「対北太陽政策」の勢いにかき消されてしまった。
 米国でも開城工団が「金氏王朝のドル箱」になるという指摘が多かった。このような事情について最近のウォール・ストリート・ジャーナルは、金正恩政権の延命に役立つ開城工団を北韓自らがブロックしただけに、この機会に永久に閉鎖してはどうかとの主張を展開した。同紙は、韓国政府が労働者を撤退させ、開城工団の入居企業に投資の損失を補償した方が、北韓政権の支柱を残すよりも費用が少なくて済むと指摘した。
金正日の遺訓も保証できない投資
 韓国は最初から、開城工団を南北の「ウィン・ウィン」経済モデルにすることよりも、統一に備えた南北の緩衝地帯を造成するという趣旨を強調してきた。いわゆる「わが民族同士」という論理の前に、北韓政権のドル箱になるという憂慮は、取るに足りないものとして扱われた。
 統一の過程で最大の障壁になる北政権の生命線を支えるということは、それ自体が皮肉である。またいつ人質にとられるかわからない韓国人労働者の身の安全と財産を保護する保証がないというのも趣旨とは矛盾している。この問題を補う手段も方法もなく事業を進めたことで、最初からボタンの掛け違いになってしまった。
 北韓当局から許可が下りずに訪朝が失敗に終わった17日、入居企業の集まりである「開城工団企業協会」は、次のような内容の声明を出した。
 「私の工場に行こうとしても行くことができない。開城工団の企業は、南と北の最高指導者が交わした『50年間自由な企業活動保障』の約束を信じて、10年以上の間血の汗を流し、今日の開城工団を作った」
 金正日は当時、開城工団を作る際にサインをし、労働力が足りなければ軍隊の1、2師団を解体してでも人材を供給すると約束した。しかし、金正日の遺訓統治が敷かれ、神格化された金正日の息子が統治する北韓は、自ら工団の稼働を中断した。これは理解しがたいことである。
北韓の態度を改める契機に
 より理解しがたいのは、韓国政府の焦りだった。まず対話提起をして開城工団の問題を議論しようとするほど絶望的な状況だったのかが疑問だ。韓国に圧力を加えれば何か得られるだろうという期待を抱かせただけかもしれない。
 開城工団の北韓当局の責任機関である中央特区開発指導総局は、開城工団事態の責任が韓国にあり、その責任を北韓に転嫁すれば状況はさらに悪化するものと脅してきた。これに対し韓国は、北韓自らが招いた状況に冷静に対応することが求められる。少なくとも北韓の「瀬戸際戦術」に妥協せず、民間事業者中心に運営されている工団の操業停止の損害賠償請求や、再発防止と当局の謝罪は求めなければならないだろう。
 中断が長期化すれば、工団の設備は鉄くずに変わる。韓国電力が工団に送電している10万キロワットの電力が止まった時点で、全工場が操業停止となる。どれほどの苦労を積み上げてきたとしても、工団が閉鎖されるのは一日で足りる。
 歴代のどの大統領よりも朴槿惠大統領は「原則」を強調してきた。開城工団を北韓の行動を正すきっかけにし、これ以上従属しない韓国政府であることをはっきりと示さなければならない。今こそ撤退まで含め、決断が必要な時期なのである。

2013-04-24 3面
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