北韓の原子力総局報道官は2日、「寧辺にある5メガワット黒鉛減速原子炉を再整備、再稼動する」と発表した。同原子炉は07年の6カ国協議の合意により稼動を停止。08年には各国メディアを招待して冷却塔の“爆破ショー"まで行われた。
原子炉の再稼動により、北韓ではプルトニウムの生成が可能になる。
北韓は少なくとも過去2回の核実験でプルトニウムを使い、当時の韓国情報当局によると、核実験に使えるのは「今後3、4回分」というところまで減っている。原子炉の稼動で生み出されるプルトニウムを実験や兵器に転用させることが可能になれば、周辺国には脅威となる。
再稼動までの期間について、専門家らは冷却塔の再建も含めて最低6カ月、プルトニウムの生成については数年かかるとの見解を示している。しかし、米ジョンズ・ホプキンス大の北韓分析サイト「38ノース」によると、近くにある別の冷却施設から取水するシステムを構築している様子が観測されており、そうなった場合は数週間で再稼動できるようになるという。
原子炉の再稼動については、韓日米だけでなく中国も不快感を示している。
中国外交部の洪磊報道官は2日「関係各方面が冷静と自制を保ち、対話と協議の軌道にいち早く戻るよう希望すると同時に、遺憾の意を表明する」とコメント。同日には張業遂外務次官が駐中北韓大使を呼び「重大な懸念」を伝えたという。
ミサイル発射の懸念も高まっている。北韓は4月初頭に移動式のミサイル発射台を東海岸に配置。搭載されるのは中距離ミサイル「ムスダン」とみられている。
「ムスダン」の射程距離は3000キロメートル以上といわれ、北韓から約3200キロメートル離れたグアムにも到達可能とみられている。北韓は3月に入ってからグアムや米本土へのミサイル攻撃を警告していることから、米国はグアムや西海岸のミサイル防衛機能を強化させている。
菅義偉官房長官は4日、北韓が事前通告なしにミサイル発射を行うことも視野に入れ「最悪の事態にも国民の皆さんの安全、しっかり防衛できるような態勢で取り組む」と表明。防衛大臣は7日、自衛隊にミサイルの破壊措置命令を下している。
さらに北韓当局は5日、平壌に駐在する24カ国の大使館に対し「4月10日以降は外交官の安全を保障することができない」とし職員の撤収を検討するように要請した。朝鮮日報の報道によると、多くの国は「撤収する計画はない」との意向を示しているという。 |