趙甲済
長期執権、権力層の腐敗、青年失業、携帯電話の普及など革命の条件がいくら成熟しても、焚き付けの役割をする人がいてこそ蜂起が起きる。チュニジアではある露天商の青年の自殺が、エジプトではグーグルで働く人がフェイスブックに警察に殴られ殺された市民の追慕ページを作ったことが、リビアではテルビル弁護士が連行されたことが導火線だった。
テルビル弁護士はベンガジに住んでいた。リビア政府は1996年トリポリのアブスリム刑務所の収監者が抗議デモを行うや1000人以上を虐殺した。弁護士はこの被殺者家族を代表する人だった。家族たちが2月17日デモをするという噂が立つと警察は2月15日テルビルを連行した。この連行に抗議するデモが今回のリビア事態を触発させたのだ。
テルビル弁護士を取調べた刑事は「デモを鎮定する方法がないか」と尋ねたという。テルビルは、「フェイスブックやツイッターに流れたので中止はできない。ただし平和的なデモをすることはできる」と答えたという。
カダフィは、平和的なデモを強硬鎮圧するよう命令し、ここに市民たちが反発して立ち上がると事態は手のほどこしようもなく拡大した。軍隊が発砲を拒否し、デモ隊の肩を持つとベンガジ市は反政府勢力の手中に入った。
歴史を動かす動力はいつも少数の勇気だ。
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