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2011年01月19日 00:00
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クニマスと姫観音=編集余話 瞻星台

 423・4メートルの日本一の水深を誇る田沢湖に生保内発電所が建設されたのは1939年(昭和14年)。秋田新幹線の車窓からは発電所のクリーム色の建物が雪の中にくっきり見えた
▼切妻の屋根が印象的で山の斜面に建てられた別荘の風情がある。1940年に運転開始して許可最大出力は3万1500キロワットという。東北地方に戦争中の電力を供給するため韓半島からの徴用労働者を動員して発電用の水を確保するための導水路が玉川との間に掘られた
▼玉川の強酸性水は湖の魚を死滅させた。滅びゆく魚類を供養するため建てられたというのが姫観音像だ。辰子姫の黄金のブロンズ像とは反対側の静かな木立のなかにある。滅びゆく魚類の正体がクニマスであることを今回の報道で知った。サケの仲間でベニザケが祖先だという。写真を見ると、古風を漂わせる魚体が深海魚シーラカンスを思わせる
▼しかし、無縁仏を供養している地元の田澤寺に保管されていた観音像建立の趣意書や地元の古老の証言から、姫観音像は導水路工事で死亡した徴用労働者の死を悼んで建てられたものであることが明らかになった。18年ほど前のことだったと記憶する
▼地元民団の新年会の席で劇団わらび座の茶谷十六さんが話した。「工事で400人の労働者が働いていた。日本人労働者もいた。姫観音が立っているところは彼らの飯場のあったところだった。姫観音は死者供養の像だ。クニマスも滅びた」
▼70年ぶりに西湖で生息していることが確認された幻の魚類。導水路工事の歴史と徴用労働者の死を忘れないでほしい。

2011-01-19 1面
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記事: 統一日報  
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