北韓は28日、平壌で44年ぶりの党代表者会を開催した。当初の予定より半月近く延期された理由については一言も言及されていない。
韓国では、金正日の体調悪化や洪水被害などが重なり、民心の回復を待っていると報じるメディアもあった。代表者会で採択される新人事が決まっていないためという分析もあった。
朝鮮中央通信は28日、金正日の3男ジョンウン氏と妹の金敬姫・党軽工業部長、その夫の張成澤・国防委員会副委員長、張副委員長の右腕といわれる崔龍海・元黄海北道党責任書記ら6人に軍大将の称号が与えられたと報じた。
ジョンウン氏の名が公式に報じられたのは初めて。ジョンウン氏の3代世襲に向けて、金敬姫部長と張成澤副委員長ら「ロイヤルファミリー」が補佐する構図といえそうだ。
米ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ東北アジア政策研究室長は最近の報告書で「金正日が一線から退けば(中略)摂政になる可能性が最も高い。政治的な変化は深刻な不安定を引き起こし、さらに政権崩壊まで起きる可能性がある」と分析。ブッシュ室長は年長の有力者がジョンウン氏を補佐する“摂政形態"になる可能性が高いといっているが、今回の人事はまさにそのとおりといっていい。
その上で同室長は“摂政勢力"の下、北韓政権が生き残ろうとするならば、「6カ国協議を通じて非核化と体制保障のグランドバーゲン(一括妥結)を試みなければならないと説得する必要がある」と分析している。
一方、北韓は開放経済への転換が避けられないと観測されるなか、韓国・中央日報は、「金正日総書記訪中後、北の党機関紙『労働新聞』は社説で自立経済を主張している」と伝えた。労働新聞は18日付の論説で、「他人の力に頼って外資を引き込めば、目の前の危機はすぐに免れるだろう。しかしわれわれは決してこういう道を選ばなかった」と強調した。代表者会後、政治・軍事・経済がどうなるかにさらなる注目が集まっている。 |