金成昱 北韓側の恐喝が続いている。 天安艦爆沈後、韓国軍の西海海上訓練と関連し、「強力な物理的対応打撃で鎮圧する(北韓軍戦線西部地区司令部の通告文)」と闡明したのに続き、7日には「傀儡共が不法無法の『北方限界線』を固執して北侵戦争練習騒動を敢行する」、「われわれの警告は決して口先だけの戯言でない。...逆賊徒党は火を以ってのみ治めねばならない(労働新聞)」と主張した。 北韓の恐喝は目新しいことでないが、危険な話だ。今年だけを見ても、北側は駐韓米軍との韓米連合訓練が北侵戦争演習と難癖をつけ、訓練中断と米軍撤収および、このための平和協定を主張してきた。 特に、韓・米連合軍が3月8日から18日まで行った「キ・リゾルブ演習」と関連し、「強力な軍事的対応で遣り返す….核抑制力を含むあらゆる攻撃および防禦手段を総動員する(2月25日、北韓軍総参謀部談話)」、「われわれの自衛的核抑制力は一層強化される(3月7日)」、「無慈悲な懲罰を免れない(3月17日、「わが民族同士」の論説)」と脅迫した。 北韓側の殺伐な脅迫はまもなく現実化した。3月26日、天安艦を爆沈させたのだ。挑発後、北韓は長い沈黙と激しい否定の過程を辿る。 通常的な扇動だけを続けた平壌側は、5月20日、韓国の民官合同調査結果発表後は、「傀儡徒党は、艦船沈没事件調査結果だの何だのと言ってわれわれに言い掛りをつける一大謀略騒動に取組んでいる(北韓祖国平和統一委員会の5月19日の告発状)」、「傀儡海軍艦船沈没事件とそれを口実に敢行されている米国と南朝鮮保守徒党の無分別な北侵戦争挑発騒動によって作られた厳重な事態だ(労働新聞6月25日記事)」など言い逃れた。韓米連合軍が北侵戦争を企むという盗人猛々しさも繰返された。 この過程で、北韓側と南韓内「従北勢力」は、事実上北側の挑発を認める発言もした。 例えば、6月3日、スイス・ジュネーブ国連軍縮会議に参加した北側代表の李・チャンゴン公使は、「南韓政権によってなされた(天安艦)調査結果は、推測と想像に基づいた完全な捏造」と言い、「この状況を根本的に変えるためには休戦協定を平和協定に代替せねばならない」と言った。 「従北勢力」は、天安艦調査結果が李明博政府の捏造と主張し、天安艦がアメリカ潜水艦や機雷と衝突して沈没したとか、暗礁にぶつかって沈んだとか、船が古くて沈没したという陰謀説を展開してきた。とにかく、北韓と関係がないということだ。 北側も、自分は天安艦を爆沈させなかったと強弁した後、この状況を変えるためには北側と平和協定を結ばねばならないと主張し始めた。北韓と関係のない「海難事故」が起きたのに、いったいなぜ、北韓と平和協定を結ぶのがこの状況を根本的に変え平和がくるということなのか? 民主労働党の姜基甲議員も、天安艦爆沈を執拗に否定してきた。 4月9日、臨時国会での非交渉団体の代表演説でも、「北韓の連係可能性に言及するのは、責任の回避だけでなく危険極まりないこと」と言った後、しかし、「10.4宣言の履行を強調せざるを得ません。10.4宣言で明らかにした西海平和協力地帯構想を一日も早く実現せねばなりません...今でも政府は10.4宣言を履行し、西海を死の海でなく平和の海にしなければなりません」と話した。 彼は、4月20日にも、「10.4宣言さえまともに履行したら、天安艦の悲劇は初めから起きなかったかその被害を最小化したはずで、今のような国民不安は生じなかったはず」と言った。 平壌側と姜基甲議員の主張は共通している。天安艦は北韓が攻撃しなかったが、アメリカが北韓と平和協定を結び、南韓は北韓と「6.15宣言」と「10.4宣言」の聯邦制統一をすると、「西海が平和の海に成り」、「被害を最小化し」、「国民の不安も生じなかったはず」ということだ。結局、北側がやったが、北韓を非難してはならず、「連邦制」に同意せよという話だ。 荒唐なことは、この厚かましい天安艦事態扇動に、国民の3分の1が未だ騙されているという事実だ。恐らく、事実を受容れるより、金正日が友人であると信じたいのかも知れない。民族反逆者の友になりたいという邪悪で醜く汚い信念のため、目を閉じ耳を塞いだわけだ。 *写真(上から):引揚される天安艦の艦首、平壌を訪問して朝鮮社会民主党(統戦部外郭組織)と会談する姜基甲(2008年11月16日) |