趙甲済 去る4月16日、天安艦の艦尾を引揚げした次の日、「民軍合同調査団」は沈没の原因を「外部爆発」と規定し事実上北韓政権を犯人と指した。金泰栄国防長官も16日、「政府と軍は今度の事件を国家安保次元の重大な事態と認識している」と発表した。「国家安保次元の重大事態」という言葉が今度表明された最も重要な用語だった。状況を正確に表現する単語は歴史を作り歴史を動かす。「北韓側に特異動向なし」という言葉は国民をミスリードしたが、「国家安保次元の重大事態」という言葉は真実の力で国民と国政を先導している。大統領の最大の武器は言葉だ。李明博大統領の弱点は言葉に重さが無いことだ。金国防長官が言った「国家安保次元の重大事態」は、状況を整理し国政の方向まで提示した。ところが、力強い言葉は理念的に武装された人の口からのみ出るものだ。理念は概念であり価値観だ。理念を捨てれば「概念のない人」、「価値観のない人」になり、力のある話が言えない。 --------------------- 国家安保次元の重大事態、李明博と大韓民国が岐路に立った! この危機は彼に天が与えた機会なのかも知れない。この歴史の苦い杯を喜んで飲めば、彼は「統一大統領」、あるいは「統一の道を開いた大統領」として歴史に記録されるかも知れない。この瞬間、李大統領は危機に怖気づいているのか、それとも歴史的チャンスと考え決戦の意志を固めているのか。 -趙甲済 「民軍合同調査団」が4月16日、海軍哨戒艦・天安艦沈没の原因を「外部爆発」と規定することで事実上北韓政権を犯人と指した。金泰栄国防長官も「政府と軍は今度の事件を国家安保次元の重大な事態と認識している」と表明した。金長官は16日の午前、国防部のブリーフィング室で天安艦失踪将兵たちの戦死と関連した対国民談話文性格の立場を表明する時そう言った。 これが政府の公式立場だ。「国家安保次元の重大事態」という表現が意味深長だ。北韓軍の仕業であることを強く暗示する用語の選択だ。北韓軍の仕業であることを立証できる端緒を押さえたという意味にも聞こえる。 「国家安保次元の重大事態」は、憲法上国家保衛の最終責任者である大統領、つまり国軍統帥権者に重大な義務を付与する。国家と憲法は、大統領に国民の財産と生命を保護するための迅速かつ断固たる自衛権の行使を要求する。この自衛権の行使は主権の行使だ。国の生存次元で、特に侵略行為に対応して行使する主権は、国家が独立的に保有した権限として如何なる国も、如何なる国際機構も干渉できない。 国連の安保理にこの問題を提起して解決するという発想は危険だ。国連の安保理への提起は補助的手段であるだけだ。北韓政権に対する武力報復や経済制裁などの報復は、大韓民国大統領の責任下で断行するものだ。どう報復するかは世論に問うことも、国際会議に附することもできない。国際法や世論は参考にはなっても、最も重要な考慮要素は、国家の生存権と国民の生命と財産を保護せねばならない国家の義務と責任だ。 国家は、国民が殺人をすれば死刑までさせる。戦争が起きれば国民を死地に送る。国民の生命を奪う権限を持つ国家だから、協会や同窓会とは違う重大な義務を負う。国民の生命が危ない時は自衛権を行使して国民の生命と安全、そしてこれを永続的に保障する憲法秩序と国家の正統性を守護する義務がある。 「国家安保次元の重大事態」は大統領に非常のリーダーシップを要求する。軍事力の使用や軍事力の行使を前提とする国家安保次元の指導力は、狂牛病乱動事態に対処する指導力とは次元の違うものだ。 この問題に関する限り大統領はCEOでなく最高司令官にならねばならない。最高の軍人にならねばならない。国家の命運と本人の生も懸けねばならないかも知れない。利益と損失を計算するCEO式経営でなく、価値と原則を守護する決断のリーダーシップが求められる。 李明博大統領は、まずここ20日間余り維持してきた「北韓側介入の証拠がない」という姿勢を捨てるべきだ。状況は毎日速く変わり新しい情報を吐き出しているのに、大統領は3月26日の夜入力された非常に古い情報に囚われている。 大統領は状況という虎に乗って走らねばならない人だ。虎は今李大統領より数百メートルの先を疾走している。李大統領はまず言葉を変えなければならない。この程度の整理された声明が出なければならない。 「今まで明らかになった情況と証拠から、わが海軍の天安艦が北韓軍の攻撃によって沈没された可能性が高い。国家安保次元の重大な事態だ。国家保衛の責任を負う私はこの新しい事態に直面して憲法が私に付与した全ての権限と義務を果たす。私は、国民の財産と生命を護るため自衛権の行使を含むあらゆる措置を検討し、国連とアメリカなどの理解と協調を求める。国民は大統領と軍を信頼し、非常の覚悟でこの危機を一緒に克服できるよう参与してくれることを願う。」 昨日から民心が大きく動いている。 「天安艦が北側の攻撃で沈没したことを5000万の全国民が分かるのに、ただ一人だけが分からない。その人は李明博だ」という話は冗談だが、危機に直面した大統領のリーダーシップに致命的な負担要素を抱えている。国民が最高司令官を「卑怯者」と思う瞬間、国家はパンチ力(攻撃力)を失うようになる。国際社会から孤立して滅びつつある金正日政権を恐れる理由はない。われわれの国力は充分だ。足りないのは指導層の勇気と知恵だ。 武力報復以上の効果のある報復手段も多い。休戦線上での対北放送の再開、北韓船舶の済州海峡通過を禁止、開城工団の閉鎖、韓米連合司令部解体計画中断、大規模の「対北風船(伝単)」飛ばし、金正日を反人類-戦争犯罪行為で国際刑事裁判所へ告訴など等。 李大統領は去る20日間避けたかった「不便な真実」と向き合わねばならない状況に追われた。真実を直視すれば解答が出てくる。避けようとしたら虎に食われるだろう。 李大統領が天安艦事態に対する膺懲を放棄し適当に蓋ってしまえば金正日は核武器の使用を威嚇しながらさらに挑発するはずで、これに鼓舞された「従北勢力」は金正日に積極的に呼応するだろうし、愛国勢力は李大統領を裏切り者と看做し、無政府状態になるかも知れない。 この危機は彼に天が与えた機会なのかも知れない。この歴史の苦い杯を喜んで飲めば、彼は「統一大統領」、あるいは「統一の道を開いた大統領」として歴史に記録されるかも知れない。この瞬間、李大統領は危機に怖気づいているのか、それとも歴史的チャンスと考え決戦の意志を固めているのか。彼とともに大韓民国が岐路に立っている。[2010-04-16] www.chogabje.com 2010-04-23 11:07 *写真説明:白翎島の海兵隊部隊を訪問した金泰栄国防長官(上)、沈没三日前の天安艦(中)、釜山港へ入港した北韓船舶(下)。 |