金泌材
北韓の突然の崩壊可能性に対する記事が以前より目立って増えている。
1年前までも言論とのインタビューで「北韓急変事態を騒ぐのは情けない」と言った黄長燁先生も、最近北韓の「貨幣改革」失敗後「永い首領独裁が滅びる時が来たようだ」と言い北韓政権の崩壊の可能性を慎重に既定事実化している。
金正日は神ではないからどうせ死ぬ。人間屠殺者の金正日が一日でも早く消えてくれるのが南・北韓両方を助けることだ。彼の自然死を待つより物理的に戦っても彼を除去すべきだというのが私の思いだ。
金正日が脳卒中で倒れた時、彼がもっと長生きすることを強く願望した部類があった。南・北韓の「従金勢力」、そして中国共産党(最終目的は北韓地域のチベット化)だった。
ところが、最近もう一つの部類が加わったようだ。突然の南・北韓の統合には莫大な費用が投入される可能性が高いという左派性向の北韓専門家やアメリカのリベラル(liberal)性向の専門家らの分析に怖気づいた「自発的な反統一勢力」だ。こういう部類は左・右両方に存在する。代表的なのが「永久分断論」だ。
だが、「永久分断論」は、北韓政権崩壊後の中国共産党の韓半島北部に対する影響力拡大の可能性、そして自由統一で得られる経済的効果および分断費用を考慮しない非現実的な論理だ。また「永久分断論」には、共産独裁の下で喘いでいる2千万の北韓同胞を救わねばならないという意識が欠けている。
左派勢力が主張する「連邦制統一方案」も、韓半島に二つの異なる体制(1国家2体制)を想定している点で「永久分断論」と看做すべきだろう。だから、親北勢力や中道勢力は、北韓共産政権を延長させるため言論を通じて名前すらはっきりしない金正日の息子を擁立する準備をしている。
だが、北韓地域は憲法により厳然たる大韓民国の未収復地域であり、北韓住民は当然自由を享受すべき大韓民国の国民だ。大韓民国が一流国家に発展するためには、われわれの力で朝鮮王朝-日帝-金氏王朝の独裁体制に続く「100年間の植民地」で生きている北韓同胞を解放せねばならないという憲法的自覚が必要だ。
偉大な国家は偉大なことをなせる国格が必要だ。歴史的に北韓住民は旧東欧共産圏の国民のように自由を経験してことがない。飢えたルーマニア国民のように独裁者チャウシェスクを銃殺に処する力量が北韓住民には欠けている。それで、大韓民国による真の意味での人道的次元の介入が必要だ。どうせ北韓問題は大韓民国が対処せねばならない問題だ。
同時にもう少し現実的な観点で統一を捉える必要がある。昔から韓国人は現実感覚が足りない。壬辰倭乱(*文禄・慶長の役)の時もそうだったし、中国の明と清の交替や朝鮮王朝の末期にも世界の変化に鈍感なまま内部の党派間の争いで国家的大事をしくじった。
自由統一を控えて韓民族のDNAには未だ拭うべき「汚染物質」がたくさん残っている。韓国民が自由統一への確信を持たない間、狡猾な中国共産党はかなり前から金正日死後の北韓地域を「チベット化するための作業」を進めてきた。
厳然たる韓民族史である高句麗の歴史を中国の歴史と主張することや、最近「北韓急変事態」問題に韓・米と協調したいという口実で接近してくるのも彼らの狡猾さの表れだ。こういう状況で北韓地域を中国が押さえる可能性がないという主張は歴史的、現実的感覚が鈍いものと思われる。
漢族とは言語や文字や文化が全く異なるウイグルとチベット民族も、自分たちの領域が中国共産党に占領される可能性がないと考えた。だが、共産主義はその属性上膨張する。現在の中国の地図がこの事実を証明している。
韓半島の北部が中国共産党の影響圏へ入れば次の目標は大韓民国であるのは自明なことだ。2012年の韓米連合司令部解体後アメリカの影響力が大幅減ればその可能性は一層高くなるだろう。
北韓では共産暴政で殴り殺され飢えて死ぬ人々があふれ、南韓ではただ働き口がなくて家でごろごろしている20代、30代が溢れている。
金正日の寿命はすでに尽きた。彼が地獄に落ちた後北韓は誰のものになるのか? 死んだ金正日のものか? それともお金だけは余る中国共産党のものになるか? 北韓の所有権を巡るゲームはすでに始まった。自分の土地に対して所有権を主張しないとこれ以上のバカはないはずだ。
李承晩大統領はかつて「団結すれば生き、分かれれば死ぬ」と言った。われわれはまた激動の時代を迎えている。新しいスローガンが必要だ。
それはまさに、「もう我慢できない、自由統一しよう!」であろう。
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