張真晟(脱北詩人、「私の娘を100ウォンで売ります」の著者)
北側の今度の海岸砲発射に対して、韓国の一部では「(北韓軍の)冬季訓練の効果を極大化するための武力示威」、「金正日体制崩壊言及に対する北韓軍部の強い反発」という。甚だしくは「進歩新党」や一部左派学者らはとんでもない論理で北側が怒ったから、わが南韓が反省すべきだとまでいう。
だが、今度の砲声は、単純な武力示威ではない。もしかしたら、NLL海域の南北対決構図が完全に変わる重大な事件だ。つまり、北側のNLL戦略が、艦船でなく海岸砲という常習挑発形態へ転換する準備段階と思われる。要するにもはや「領海主張」を艦船でなく砲声でやるということでもあり得る。
実際、艦船技術が南韓に比べて劣る北韓海軍としては、今やこれ以上艦船をもっての挑発は無意味だ。しかし海岸砲なら違う。もし、われわれ南韓が、北韓側の海岸砲へ反撃する場合、それはまさに領土挑発と看做されることもあり得るためだ。また、北側の立場では経済的でもある。今まで軍事力の先端化や領海主張を誇示するため撃ったミサイルより、相対的にカネも掛からず、同様の平和不安が作られるためだ。
この前北韓が発表した国防委員会名義の「報復聖戦」の声明も今回の発射の前奏曲でありうる。また、北側が今回のNLL海上射撃を1月29日まで撃ち続けると一方的に通知した点と今日また射撃した点は、今後も引き続き撃つという脅迫であり、海岸砲に向かって発砲して見ろとの開き直りだ。
今まで、わが南韓がどれほど寛大だったら武器実験でもなくNLL海上に向かって勝手に海岸砲を射撃するに至ったのか。北側がこのように日増しに放恣になるのは、左派十年間の対北政策が平和の代価支払い政策で運営されたためだ。それで、李明博政府が太陽政策へUターンするまで、戦争不安を加重させるとする補強された平和脅迫用であり、李明博政府の実用主義的対北政策を失敗した政策に見せ、太陽政策継承勢力の政治的位置を強くするための安保不安用である。
また、韓半島の緊張を増幅させ、先に核放棄を求めて時間稼ぎをしているアメリカを「平和体制」構築の名目で両者会談へ一日でも早く引き出すための対米誘引用であり、戦争状況を住民に強要して戒厳統治を強化するための内部結束用だ。もし、わが政府がこの問題を放置したら、「海岸砲の発射」が北側の新しいNLL葛藤化戦略として固着され得る。
そうなれば、われわれの西海は、敵も海岸砲の威嚇にさらされ、それは正に北韓側の北方境界線主張が現実化するものだ。今度の海岸砲発射は、わが政府の対応をテストする一種の実験発射でもある。だから、わが政府は北側に断固として、(北側が払わねばならない)代価が何かを知らせる教訓を示すことで北側が目論む新しい武装挑発戦略を事前に無力化させねばならない。
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