柳世桓(国会立法書記官)
大韓民国の人々が「聯合・聯邦制統一」という「内乱詐欺劇」に騙されるようになった最も核心的かつ実質的な理由は何なのか?
それは大韓民国の人々が自由社会である大韓民国と極端な恐怖社会である「金家集団」が平和的に共存できるし、窮極的に南北交流を通じて徐々に金正日独裁体制を変化させられると信じるためだ。大韓民国の人々がこういう信念を持つようになったのは、その間大韓民国政府が「機能主義的対北政策」を通じて、「南北交流を通じて徐々に金家集団を変化させる」という観念を国民に植え付けたためだ。1970年代以来、大韓民国の対北政策の基調は、「北韓を刺激せず、人的・物的交流を拡大していけば、金正日体制は大韓民国に依存的な体制にならざるを得ず、結局は、『金家(金日成・金正日ら)集団』が改革・開放に出て、『金家独裁体制』が崩れるしかない」という機能主義的な対北政策だった。
これは結局、金正日を騙せるということだ。今直ぐは金正日を刺激せず、金正日が欲しがるドルや物資を与えながら、南北交流を拡大していけば、結局金正日には毒になって金正日を追い出すことができるということは、つまるところ金正日に自らを自滅に導く選択を取らせることができるという前提が敷かれているのだ。経済的支援がトロイの木馬になって金正日独裁体制を倒せるということだ。こういう意味で、今までの大韓民国の「機能主義的対北政策」は、金正日を騙せるという一種の詐欺的方法といえる。
30年以上、政府がこういう対北政策を追求してきたため、大韓民国の人々は大概次のような態度と信念を持っている。
[私も北韓の人権問題が深刻であることをよく知っており、金正日が本当に悪い奴だということをよく知っている。だが、今の状況で北韓人権問題を提起して金正日を刺激するのが北韓人権問題を改善するのに何の役に立つのか? それよりは、何とかの方法で南北関係を発展させて、「金家集団」を徐々に改革・開放の方に誘導するのが最善の方法だ。金家集団に対する経済協力を通じて、金正日体制が正常国家になるべく誘導することが最善の方法だ。金家集団に対する経済協力を通じて金家体制が正常国家になるべく助けることは、短期的には平和を保つだけでなく、長期的に北韓地域の経済レベルをあげて「統一費用」を減らす道だ。人権問題などで金正日を刺激する方式は、南北関係の発展に全く役に立たないだけでなく、戦争を招きかねない非常に危険な接近方式だ。もし、今の状態で北韓地域の金正日体制が崩壊すれば大韓民国は耐えられない統一費用を負担することになるはずだから、それは何よりも大韓民国の災殃になる。]
このような思考方式と主張は、ただ金正日を追従する勢力だけでなく、現在大韓民国の中道政府はもちろん、保守勢力と言われる政治家たちや言論人の間でもよく接することができる立場だ。絶対多数の国民がこれに学習されて共感に至っている。だが、こういう機能主義的対北政策の結果、今大韓民国は金正日に対してペテンに掛けようとしたが逆に詐欺にひっかかっている状況になっている。
金正日を騙そうとしたため、国民までも金正日を大韓民国のパートナーだと騙さざるを得なかった。こうなったため、大韓民国の人々の道徳的、政治的判断基準は混乱に陥ることになり、金正日を追従する反逆者らが大韓民国の内で「民主人士」として振舞うことになって、結局彼らが大韓民国の政権を掌握するようになるや、大韓民国はなすすべも無く金正日に呑まれる状況を迎えることになったのだ。
大韓民国の人々が「連合・連邦制統一」という詐欺に騙されないためには、今まで金正日を騙せるという前提で進められてきた機能主義的な対北政策の矛盾を認識し、人権と自由、民主主義の真実に基づいた原則主義的対北政策だけが北韓地域を変化させることができるという事実に目を覚まさねばならない。また再び「平和共存」と改名された「太陽政策」に同意してはならない。
金正日独裁の第一の基盤は、独裁を合理化する嘘だ。この嘘に対しては真実をもって立向かわねばならない。われわれが民主主義、人権、自由の旗じるしに基づいて金正日の独裁体制をこれ以上容認できない奴隷体制と規定し、金正日が退場するように、いや大韓民国に投降することを堂々と要求して、すべての対北支援は人権の改善と民主化措置の施行を前提として行わねばならない。われわれは今や真実を叫ばなければならない。金正日は大韓民国の人々のパートナーでない。(柳世桓書記官の文を翻訳)