金泌材
フランス系中東問題専門メディアの「インテリジェンス・オンライン」(Intelligence Online、以下IO)は、2006年9月7日と2007年4月20日の二回にかけて、北韓と中東の武装テロ組織の「ヒズボラ」との「トンネル‐ミサイル・コネクション」を集中報道したことがある。
IOは、北韓がヒズボラに武器調達やテロ訓練を提供しており、イラン政権は北韓とヒズボラを連結する仲介役割をなしていると報道した。
IOは、北韓-ヒズボラのコネクションが本格化した時期は、1980年代末~90年代初期で、この期間にヒズボラ組織員たちが北韓へ行って、数ヶ月間のテロ訓練を受けたと指摘した。
IOは、また2006年9月7日付の資料で、北韓でテロ訓練を受けた三人のヒスボラ指導者として、ハッサン・ナスラルラ(Hassan Nasrallah、ヒズボラの事務総長)、イブラヒム・アキル(Ibrahim Akil、ヒズボラの安保-情報組織責任者)、ムスタパ・パドゥレディン(Mustapha Badreddine、ヒズボラの対防諜組織責任者)などを指目した。
IOは、北韓のテロ教官たちが2000年を基点に、直接レバノンへ派遣されて、南部レバノンでヒズボラ組織員らを訓練し、イスラエルへの地下トンネル建設技術を伝授するなど、両者の関係が以前よりはるかに密接になっていることを暴露した。
[1] 産経新聞のアメリカ理科特派員は、2008年1月7日付の「a document of an international organ」で、シリアのバシル・アル・アサド大統領が、2004年、ダマスカスで北韓の高官に直接会って、ヒズボラに対する軍事訓練やトンネル掘削技術の提供を要請したと報道した。
[2] 英国の「BBC Monitoring Middle East」は、2006年8月3日付の記事で、アラブ系言論人のAl-sharq al-Awsatの発言を引用して、北韓の支援を受けて作られた総長さ25kmに達する高度に精巧化されたヒズボラのトンネル(南部レバノン所在)の存在を、イラン革命軍所属の高位将校を通じて確認したと報道した。
以上のように、北韓の支援を得たヒズボラの戦闘能力が確認された代表的事件が、まさに2006年に起きた「イスラエル-ヒズボラ紛争」だ。多くの情報報告書によれば、現在ヒズボラは北韓技術で作ったトンネルに1000-1500個のロケットを隠匿しておいたと伝えられている。
イスラエルは、ヒズボラのロケット発射台の位置把握に非常に苦しんでいる。イスラエル軍が南部レバノンに進撃し、ヒズボラのロケットを探す間に、ヒズボラはトンネルを通じてロケットを移した後イスラエル軍の後方を攻撃するからだ。
[3] 前在米イスラエル副大使出身のレニ・ベン・デービッドは、2007年、「エルサレム・ポスト紙」とのインタビューで、「北韓の朝鮮鉱業開発貿易会社(KOMID)が、南部レバノンに位置したヒズボラのトンネル建設に直接的に関与してきた」、「北韓とヒズボラの連結の輪はイランだ」と指摘した。「エルサレム・ポスト紙」は、また「北韓が心理戦専門家たちをレバノンに派遣して、ヒズボラ組織員たちに『自殺テロ』を教育している」と報道した。
2008年、イスラエル政府は、ヒズボラが2006年に起きた「イスラエル-ヒスボラ紛争」当時使ったものより射距離が増えた大量のミサイルをイランから入手したと発表した。
実際にIOは、2007年4月20日、ヒズボラのハッサン・ナスラルラ(Hassan Nasrallah)が、2007年4月初にテヘランを訪問し、中距離ミサイルの提供をイランに要請したことを確認した。
イスラエル情報局(MOSSAD)は、これに対して「北韓が2006年に起きたイスラエル-ヒズボラ紛争の前にミサイル部品をヒズボラに提供し、以後イランがヒズボラに提供したミサイルも北韓で製作された可能性が高い」と言って、北韓とヒズボラの蜜月関係を指摘した。
北韓のテロ教官らによって訓練を受けたヒズボラの指導部級組織員たちは、今まで100人に達すると知られている。レバノンの消息筋によれば、ヒズボラは2008年以後イスラエル要衝地に隣接した「リタニ川(Litani River)」の北部に地下トンネルを建設中と伝えられている。
[関連資料]
[1] Hezbollah a North Korea-Type Guerrilla Force, Intelligence Online, September 7, 2006. Hezbollah training in North Korea, Intelligence Online, April 20, 2007. Intelligence Online is put out by the Indigo Publications of Paris, France. Itis one of several reports on Middle East security and political affairs put out by Indigo Publications.
[2] Takashi Arimoto, International document points concretely to close cooperation between North Korea, SyriaSyriaalso asked for assistance to Hizballah, Sankei Shimbun (internet version), January 7, 2008.
[3] Ali Nuri Zadah, Iranian officer: Hezbollah has commando naval unit, Al-Sharq Al-Awsat (London), July 29, 2006.Also cited in the American Enterprises Institute’s report, Iranian Influence in the Levant, Iraq, and Afghanistan.February 2008, p. 7and by BBC Monitoring Middle East, August 3, 2006.
[4] Jonathan Finder, Israeli soldiers find a tenacious foe in Hezbollah, Washington Post, August 8, 2006, p. O1. MollyMoore, Israelis confront ‘new kind of war’high-tech tactics fail to halt rocket fire, Washington Post, August 9, 2006,p. A11. Paul Moorcraft, Hezbollah risingthe surprising success of Iran’s client, Washington Times, August 15, 2006,p. A15.
[5] Lenny Ben-David, Mining for trouble in Lebanon, Jerusalem Post (internet version), October 29, 2007.
[6] Roots of Hezbollah’s war against Israel and the Islamic revolution, Jerusalem Update, June 17, 2008.
[7] Matti Friedman, Israel: Hezbollah increases rocket range, Associated Press, March 27, 2007.
[8] Nicholas Blanford, Hizbullah regroups amid war jitters, Christian Science Monitor, April 14, 2008, p. 7.
[9] Hezbollah training in North Korea, Intelligence Online, April 20, 2007.66Ibid.
[10] Barbara Slavin, Mullahs, Money and Militias: How Iran Exerts Its Influence in the Middle East. Washington, UnitedStates Institute of Peace, 2008, p. 15
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