6月28日開かれた韓日首脳会談で両首脳は北朝鮮の核を容認しないとの認識を確認した。北朝鮮の核保有・ミサイル開発は朝鮮半島全体の直接の脅威であるとともに北東アジアの安全保障上の重大な脅威である。これを容認できないことは当然だ。
北朝鮮の核・ミサイル開発と挑発の原因は、核保有国としての地位を手にすることが体制存続に不可欠と金正日政権が判断していることにある。しかし、いうまでもなく「核の求心力」に依存しようとする戦略は逆に東アジアで北朝鮮を孤立化させ、国際的に受け入れがたい国とさせるだけだ。北朝鮮当局は朝鮮半島が国際の平和と安定に寄与する地域であるべきだとの長期的視野に立ち、朝鮮半島の安定化が、北朝鮮自身の抑圧なき民主的な体制への転換にかかっていることを冷静に判断すべきだ。
中国の抑止策を望む
北朝鮮当局が政策転換の兆しを見せず、緊張政策を取り続けるもとでは、北朝鮮への制裁強化を打ち出した安保理決議を実効あらしめなければならない。
禁輸対象の武器を積んでいる疑いで米軍は北朝鮮籍の貨物船を追跡している。貨物検査には関係国の合意を重視しつつ、事前協議すると伝えられる。米国はまた「朝鮮半島で兵器として利用できる核物質が拡散する危険性」を挙げ、北朝鮮資産の凍結など金融制裁措置を1年間延長した。韓日間では国防次官協議で安保理決議の履行をめぐって協力することで一致している。
制裁の実効性を左右する中国に対してどう働きかけるのか。
米国は近く代表団を中国はじめ関係国に派遣し、北朝鮮に対する金融制裁の履行を徹底するための方策を協議すると伝えられる。韓国は中国と戦略的パートナーシップ関係を結んでいる。
中国には朝鮮半島の平和と安定の観点から北の核とミサイルに対する有効な抑止策を望む。北朝鮮は国連の制裁に対抗して中国、ロシアとの「3国同盟」の構築を画策するだろう。韓国は、制裁の履行が「韓米日」の3国同盟と映らぬよう、制裁に臨む韓国の立場を明確に伝え中国を説得すべきだ。
韓国国防計画の修正
北朝鮮当局が国際社会から核保有国認定を得るとの現在の戦略を固守する限り、韓国は核実験やミサイル発射実験の挑発行為に備えていかねばならない。韓国国防部は、北のミサイルへの対応能力を拡充させる国防改革基本計画の修正を明らかにした。ミサイル発射などの兆候が明らかになった場合、敵の基地に対する先制攻撃を可能とする内容で、このような抑止計画は初めて明記されるものだ。北朝鮮の核やミサイルが韓国の安全保障を現実的に脅かしていることを北当局に伝えるメッセージであると受け止められる。
中国・延辺では北朝鮮の2度目の核実験で地震が起き、北当局への怒りの感情が市民に沸いたと報道された。北当局は周辺国の反応を真剣に受け止める必要がある。
核保有して対米国交を迫るという強硬で無謀な外交姿勢では国際社会は北を受け入れない。北朝鮮は「船舶の臨検、貨物の査察は許さない」というが、それは無謀な姿勢の延長線上にある態度といわざるを得ない。もし、疑惑の船舶が第三国の港に寄港したらその国は国際社会から追及を受けかねない。こうした緊張を重ねることに北朝鮮の利益はあるのだろうか。
核物質の拡散やミサイル取引には国際社会は拒絶反応を起こしているのである。北朝鮮当局は国際世論の変化の現実を悟るべきだ。国際協議の場で新たな国際関係へのビジョンを示すべきだ。 |