趙甲済
客観的な事実や状況を解釈し、そこに対策を出すことは人間がやる仕事だ。人間の観点と意志が客観的な事実と結合して、事件、流れ、歴史を作る。状況ほど重要なものが、その状況に対する解釈だ。解釈は人間の価値観、世界観、人生観を反映する。
李明博大統領は、「開城工団事態」をどう解釈するだろうか? 恐らく北韓政権に「弱点」として捕えられたところだと考えるだろう。金正日政権がしょっちゅう韓国人職員を抑留し、一人を長期的に拘束しているから、頭痛の種と考えるのが正常だ。
でも、考えを変えて見るとどうだろう? 開城工団が北韓政権の弱点だという観点から。北韓政権は、開城工団に約4万人を就職させている。彼らは毎月約60ドルの賃金を貰う。北韓政権がここから相当部分を奪い取る。金正日政権の大きなドル箱だ。北韓の闇市で1ドルは約3000ウォンであり、労働者の平均月給だ。ドルを基準にすれば4万人でなく数十万人が就職しているのだ。
金正日政権にとって開城工団は、ドル箱である同時に困り者だ。開城工団を通じて韓国の優れた資本主義の風が入ってくる。4万人が貰う賃金ほど、韓国に依存することになる。
金正日は昨年、開城工団を閉鎖しようとしたが、経済の責任を持った金英日政務院総理が反対しているという話も聞こえる。
こういう状況の分析に立って李明博政府がこのような措置を取ったらどうだろう?
「北韓当局に要求する。来る5月10日まで開城工団で勤務する韓国人らの安全に関する確実な対策を立てろ! 抑留中の韓国人を釈放しろ!。もし納得するほどの措置がなければ、5月11日から韓国人の勤務者の開城工団への出入りを禁止させる。」
このようにボールを金正日に渡すことだ。金正日は苦悶に陥るはずだ。(平壌では)いくつかの代案を置いて会議を繰り返すだろう。
第一、韓国の要求を恐喝だと片付けて断る。そうなると開城工団は半身不随になる。韓国側の損害は微小だが、北側は甚大だ。
第二、金正日政権が先に開城工団の閉鎖を通知する。韓国としては虫歯が抜けたようにすっきりするが、北韓としては主要なドル箱を失う。
第三、韓国の要求に屈服し、身辺保障を約束する。これは、北韓政権の悪い行儀を直す第1歩になるだろう。
第四、金正日政権が韓国の要求に対する報復として開城工団勤務の韓国人を抑留する。これは明白な国際法違反であり、韓国だけでなく国際社会に対する挑戦で、事実上の戦争犯罪行為だ。国連安保理の制裁を招く。
李明博政府は、金正日政権と駆け引きをする考えをやめなければならない。力で対決する方法を研究しなければならない。駆け引きをしても、強い立場を確保した後、やらねばならない。金正日が開城工団で我々を圧迫するなら、我々も開城工団を武器として、彼らを圧迫できてこそゲームが成立つ。金正日を悩ませてこそ変わる。
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