金成昱
金正日政権を終息させ、自由・人権・法治の普遍的体制を作らねばならない。これこそ大韓民国憲法に規定されている自由民主主義の統一、すなわち自由統一だ。自由統一の前に立ちはだかる最も大きな障壁は、実は心理的だ。いわゆる統一費用に対する「恐怖」だ。
統一費用の論理はあまりにも誇張されている。国民総所得(GNI)を基準とすれば、韓国の36分の1規模の北韓経済を負担できないというのは非科学的だ。36分の1という数値は、北側の対外発表を基準としたものだ。実際に北韓と韓国の経済力は100倍以上の差があるというのが定説だ。
東・西ドイツの統一と南・北韓の統一の決定的差がここにある。100程度に暮した国が、80程度に暮した国を抱えると、80ほどのレベルは維持してあげねばならないからきつくならざるを得ない。だが、90ほど暮した国が、1ほどのレベルにも暮らせなかった国を抱えるとしてきついことはない。100倍の国力差を得た韓国が、北韓を管理できないというのは話になれない。
よく言われる数百兆ウォンの統一費用とは、北韓住民の暮らし向きを一挙に韓国の70~80%レベルまで引き上げる費用だ。だが、餓死し、殴り殺され、凍死する人々さえ直ぐに無くしても統一は成功と言える。北韓は国家予算の40%を金日成と金正日の偶像化に費やし、それより多くのお金を武器開発に使う。このような「気違い沙汰」を中断させてから、対北支援が特権層でなく住民に分配されるように管理すれば、今すぐにでも北韓は一定の軌道に乗るはずだ。
抑圧と搾取さえ無ければ、全ての人間は自らを生存させる能力を持っている。北韓も例外でない。現在、国家的配給体制から脱した市場経済の生活者たちが50%近く達した。彼らは金正日独裁体制の崩壊後、朝鮮労働党の破壊的統制さえ消えれば、活発で独自的な労働活動を通じて北韓経済の基盤を築くはずだ。
「統一費用」が高いと言うが、「分断費用」はもっと高い。自由統一は、△分断費用(防衛費、外交費、経済損失、国家的自尊心の毀損)を無くして経済統合の便益(市場拡大を通じての規模の経済の実現、南・北韓の生産要素および産業構造の有機的結合、国土利用および環境保存の効率性増大)を生み、△北方との交易増大および物流費用の節減をもたらし、△人道的便益(北韓人権)と△政治的便益(戦争威嚇の解消、北核問題の解決)をもたらす。
金正日政権の時間稼ぎ戦略に加勢して、問題の解決を遅らせれば、将来負担すべきコストはもっと増える。金正日政権が続くことで発生するコスト(金正日コスト)は、金正日政権の崩壊に伴うコスト(統一コスト)より大きい。
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