金成昱
最近、金正日が突然死やクーデターなどで除去される場合に備えて「自由統一」のための大戦略を推進すべきだという主張が噴出している。(金正日独裁)体制が弛緩する刹那(僅かな瞬間)を統一の機会として活かすべきだ、という指摘だ。
韓国は、金正日以後、どのような方法や手続きで、「自由統一」を成し遂げることができるのか。軍事専門家の鄭昌仁博士に会って聞いた。彼は個人的に「自由統一フォーラム」という団体を運営している。
<親韓勢力が大韓民国と自由統一を宣言するように>
鄭博士がいう自由統一のシナリオの核心は「対北工作」である。持続的な心理工作や思想工作を通じ、金正日以後の親韓勢力を育て、彼ら親韓勢力が大韓民国との自由統一を宣言する方式である。北朝鮮政権が韓国内に親北勢力を育て、連邦制で赤化統一を試みてきたモデルを逆に適用したものだ。
鄭博士は、「韓国の対北支援が、北朝鮮体制の存立に決定的役割をしており、事実上金日成王朝である北朝鮮から金正日が消えれば、一定の危機がくるしかないという点で、心理的・思想的工作と経済・外交的圧迫を併行すれば、親韓勢力を通じての自由統一が十分に可能だ」と語った。
鄭博士は、この方案に対して、高麗に新羅を献納し、「後三国」の統一を成し遂げるようにした「敬順王モデル」だと説明した。金正日以後の萎縮した北朝鮮の権力層に、対北支援という釣餌を増やしたり減らしたりする一方、北朝鮮の権力層に統一以後の政治的補償を約束し、彼ら自らが大韓民国に内応するようにするということだ。事実上最も安全で、経済的な自由統一の論理であるわけだ。
<「北朝鮮軍の抵抗がないという前提で、韓国軍が独自に介入すべき」>
しかし、このような工作が効を奏せず、金正日以後の北朝鮮の状況が統制できない方向へ展開する可能性もある。権力争奪の過程での軍部の衝突、難民の大量発生と国境を越える脱北者の行列など、いわゆる北朝鮮の急変事態だ。
鄭博士は、北朝鮮の急変事態の可能性を高くは予想しない。一定の混乱はあるものの、統治機構が残っているので、早期に北朝鮮の軍部独裁のシステムが復活するという指摘だ。鄭博士は、よく言われる、北朝鮮の急変事態の時の軍事的介入に対しても、否定的立場を表明した。「金正日が生きている時、北朝鮮に軍が入る名分がなかったが、死後も入る名分を探すのが難しいだろう」という説明だ。
ただ、「軍事的介入が避けられない場合には、北朝鮮軍が抵抗しないという前提、つまり、それ程の対北工作がなされた状態で、韓国軍が独自的に介入すべきだ」と言った。北朝鮮急変事態の時、よく論じられる韓米連合軍の共同介入は、中国の介入を招く恐れがあって危険だ、という論理である。韓国は自由統一に立った未修復地域の回復を名分に、北朝鮮問題において主導権を握らなければならないということだ。
<自由統一は、より多い人口、より広い国土、無限の機会>
自由統一において最も大きな障害として論じられるのは中国だ。鄭博士は、中国の妨害を克服するために三つ、四つの論理を提示した。「現在の朝・中国境線の維持を約束、駐韓米軍が北朝鮮地域に駐留しないという約束、北朝鮮を資本主義化することが中国の国益に役立ち、脱北者など中国の悩みの種を解決できるという説得」などである。
鄭博士は、「統一論議の中で、いわゆる「統一費用」などを理由に、現実に安住しようとする心理を克服しなければならない」と指摘した。「むしろ、統一は、より広い国土、より多い人口、未開発地域である北朝鮮の開発を通じ、無限の機会と豊かさをもたらすことができる、という事実を国民に理解させねばならない」というわけだ。
鄭博士は、「自由統一は、北朝鮮同胞に人間の尊厳性を回復させる、義のあることであり、また多くの良い結果を持ってくる機会」、「今や、大韓民国にもイタリア統一の英雄、ガリバルディのように、自由統一を語る政治勢力が出て、国民を説得すべきこと」と力説した。
www.chogabje.com 2008-03-08 02:58 |