デーリーNK
最近北朝鮮当局が来年から毎月の1、11、21日にだけ「市場」を開く、いわゆる「10日農民市場」への転換を発表した中、今度は来年から、全ての工産品を国営商店を通じて販売すると宣言し、その推移が注目される。
咸鏡北道の消息筋は、12月9日「テーリーエンケイ」との通話で、「最近の幹部講演会で、来年初から国営商店で工産品を販売するという方針が伝えられた」、「人々の間でまもなく中国からの借款で中国商品を大々的に輸入するといううわさまで出回って、すでに市場が騒ぐ」と知らせてきた。
消息筋によると、先月の11月29日の午後開かれた「土曜幹部講演会」では、「当面の情勢と人民生活を向上させるための対策」という講演を通じ、現在の市場体制をなくし、農民市場体制(1日、11日、21日にだけ運営される農産物の取引市場)に変える措置に対して説明しながら、国営商店の工産品販売方針も一緒に発表された。
この措置に対して消息筋は、「苦難の行軍の時から人民の旺盛な活動によって開拓された『工業品の取引市場』を国家が独占するという意味」で、「国営商店で販売される工業品には中国産や北朝鮮産を問わず全てのものが含まれる」と伝えた。
幹部講演会では、「来年から、市場で取引きされた工産品などを国営商店で販売することになり、農民市場では野菜と一部農産物だけが取引できる」と説明し、事実上個人間の食糧と工産品の販売が全面禁止されることを暗示したと消息筋は付け加えた。
幹部講演会ではこの措置の背景について、「今の市場は、苦難の行軍で人民の生活が苦しくなった事情を勘案して国家が臨時に取った措置だった」、「市場が、時間が経ちながら国家の意図や社会主義経済原理から離れ、資本主義と非社会主義を作り出す犯罪の温床になっているため、今の市場を全部なくし、農民市場を蘇えらせようとする」と解説したという。
消息筋は、「今回の方針は過去のように単純に市場を統制しようとするのではないようだ」、「もし工産品を国営商店が独占的に売ることになれば、販売収入を銀行に預置させ、個人の間で回ったお金を、国家を中心に回るように変えられると判断した」と説明した。
彼は、「市場のため『金持ちは益々金持ちに成り、貧乏人は益々貧乏になる』現象が余りにもひどくなり、国にお金が回らないため、個人の商売をなくして銀行を生かし、経済を回復させようという発想」とし、「国家的には来年は経済状況が大いに良くなると予想している」と言った。
しかし、消息筋は「(幹部講演会で)来年初から国営商店でのみ工産品を売るといったものの、正確にいつから、どんな方法で販売するかは言われなかった」と述べた。
また、「来年から『収買商店(工場や企業所で国家に税金を納めて中国人商売人の物を売る商店)らも国営商店の価格と全く同じに成り、違反する場合、商店をなくす』といううわさもある」とし、「結論的に今まで個人を通じて販売された工産品までを国家が直接販売して、どんな形の個人商売も許さないということ」と話した。
消息筋は、今回の決定と関連して北朝鮮住民の間では賛否の論争が加熱しつつある状況だと伝えた。
彼は、「国営商店を通じて工産品が販売されることを一番歓迎するのは農民たちだ」と言い、「農民たちは、農産物を安値で商売人に渡し、工業品(生活必需品)を高く買わなければならないという不満が多かったが、これから国営商店で商品を売ることになれば、値段が下がるだろうという期待感が大きい」と話した。
同時に、彼は「反面、都市労働者たちは、市場での商売を許さないと言われ不安に駆られている」、「労働者たちの月給が朝鮮のお金で1500ウォンなのに、個人商売まで禁ずると、労働者たちの生計は大きな打撃を受けることになる」と展望した。
消息筋は、「労働者らが月給をまともに貰うとしても、今『軍隊冬靴』(軍人らの冬の履き物)一足が9000ウォンなのに、その給料でどう生きるのか?」、「月給が米半キロの値段に過ぎない」と説明した。
消息筋は、「労働者らの間では、『幹部らのお腹を満たそうという真似』と言い、露骨な不満が吹き出ている」、「多分、来年は新年の初日から市場で大戦争が起きるだろう」と憂慮した。
デーリーNK 文・ソンフィ記者(2006年韓国入国)
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