中国丹東で北朝鮮を相手に事業したA氏は、この前から北朝鮮内の事業パートナーと連絡がつかない。北朝鮮軍部から外貨稼ぎ指導員として能力を認められた彼は、最近携帯電話を使う現場で保衛部に逮捕された後、消息が切れた。
金正日重病説が広がった以後、北・中国境地域で保衛部の取り締まりが厳しくなった。北朝鮮住民たちが外部と連絡するのを遮断するためだ。北朝鮮内部でも、中国携帯電話基地局を利用できる国境に隣接した地域では中国携帯電話で外部と通話ができる。
それで中国と事業をやる北朝鮮官僚などは、大部分中国携帯電話を持っている。出入国が難しい北朝鮮で事業をするためには、統制が厳しくても携帯電話が必須だ。北朝鮮当局は2003年から携帯電話電波探知器を国境地域に配置し、中国携帯電話使用者を探し出し始めた。
それでも、金正日重病説以前は、5分程度の通話は可能だった。この頃は、3分ほど通話しても直ちに携帯電話探知機が装着されたジープが押しかける。それで外部と通話するためには、2~3分の間隔で場所を移さねばならない。処罰もさらに強化された。前は罰金50万ウォン(一般勤労者の1ヶ月平均月給が3000ウォン)と携帯電話の回収程度であった。
罰金を払えないと強制労働をしなければならなかった。今月の初めからは職位の上下を問わず携帯電話使用者を「スパイ罪」で処罰し、政治犯収容所に送るという。
保衛部は、各地域に出した内部講演資料と通じて、「北・中国境に南朝鮮や米国などのスパイらがうごめいており、共和国の内部情報を収集するため血眼になっているので、いつの時より革命的警醒を持って敵に対処せよ」と訴えている。
北朝鮮内部で、金正日重病説が広がるのを防ぐための住民の口封じも行われている。ラジオをこっそりと聴取する若者たちを中心に、金正日委員長に対するデマが広がっているためだ。
「将軍様が中風にかかって倒れた」、「将軍様が半身不随になった」、「起きることもできない」等あらゆる内容が広がるや、当局は公式媒体を通じ、「将軍様は絶対倒れない」、「敵的らの謀略重傷が日に露骨になっている」と宣伝している。
北朝鮮の国境地帯では、金正日重病説が広がった以後、外部との通話を統制するため取り締まりと処罰が厳しくなった。最近国境を越えた脱北者は、「北朝鮮全地域で、将軍様の中風説を遮断するための保衛部の大々的な統制が始まった」と言った。金正日に対する最初の発言をした者を探すために、さつまいもの蔓を掘るように人々を次々に保衛部へ呼んで調べているという。
個人の固定電話使用も禁じられている。対北朝鮮筋によると、今年4月から地方ですべての個人固定電話を回収し、市外電話は該当地域の郵便局で身分を明らかにしてからかけるようにした。金正日重病説が広がった9月初めからは、平壌市内でも市外電話の使用を禁じ、個人の固定電話も回収されている。
軍人出身のある脱北者は、「金正日の中風説が広がるや、軍隊と保衛部要員の間で、自分たちの未来に対して心配する人々が増えている」と話した。金正日重病説が事実なら、体制に忠誠をつくした者であるほど北朝鮮がどのように変化するかにより被害を受けられると考えるためだ。
高位脱北者は、「国家安全保衛部など住民に悪行を犯している者らは、世の中が変わるのをいつも不安に思う。金正日重病説はそのような心理を刺激するので、金委員長が姿を表わさないと混乱が加速化されるだろう」と話した。/ 朝鮮日報nkch@chosun.com 2008-09-27 |