アンドレイ・ランコフ(国民大学校教授)
金正日は後継者の任命(使命)を準備しておりません。なぜそうでしょうか? もちろん、この質問の正解を知っている人は金正日だけです。
しかし、私たちは仮設をたてることはできます。金正日は、大部分の北朝鮮の人々とは違って、海外の事情に対してよく知っており、北朝鮮の経済や社会がどれほど遅れているかよく分かっています。
また、金正日は、北朝鮮が中国のように改革・開放を試みると体制が崩れる可能性が高いと判断していたと見られます。
それで金正日委員長は、北朝鮮が改革開放をする場合も反対に改革開放をしない場合も、北朝鮮の体制は遅かれ早かれ崩れると判断した可能性もあります。
この仮設が正しいなら、金正日が自分の息子を後継者に任命しない理由が理解できます。金正日が危機を克服できなかった現在の北朝鮮を、「後継者の息子」に譲ることは、すでに故障を起こして墜落している飛行機の操縦桿を、自身の息子に任せるのと同様です。
この仮設に基づいた金正日の論理は、北朝鮮の体制が崩れる時、金日成や金正日一族は、この(国の)高位職に就いていてはいけないということです。そうなると、北朝鮮体制の過ちや、そして人民の苦痛に対する責任は、金日成・金正日一族にでなく、高い地位に就いている政治家(指導者)たちが負うようになります。この場合、金正日一族は、体制が崩れた後も、特別な問題なしで、海外へ出て贅沢な生活が続けられるはずです。
皆さんはこの仮設が根拠があると考えますか? われわれはこの質問に対する答を、遅くとも1-2年内に知ることが出来るでしょう。病床の金正日は、病床の中で、または病床から起きてまもなく決定を下さなければならないはずです。
2011年-2012年まで後継者が決らないと、金正日は墜落する飛行機のような北朝鮮という国家から、自分や家族らのための落下傘を準備していると考えることができるのです。まさに私が今日皆さんに提示したこういう仮設のように、です。
コラム出処:自由アジア放送(RFA)
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