自由北朝鮮放送[2008-09-01]
今度のスパイ事件は「太陽政策」の反逆性を悟らす契機になる。
黄長燁北朝鮮民主化委員会委員長は、今度のスパイ事件と関連し、「女スパイの元正花は、徹底に金正日に騙されて生きてきた哀れな精神的不具者だ」と言い、人間の精神を支配する思想や理念の重要性を強調した。
黄委員長は、8月29日の自由北韓放送とのインタビューで、「今度の事件を契機に、韓国を武力で統一しようとする金正日独裁政権の本質と正体をはっきりと知るようになった」、「今度の事件は、安保不感症のために起きたのでなく、思想不感症のために起きたものだ」と、われわれの社会の理念的弛緩を指摘した。
黄委員長は、「安保の最後の砦である軍隊にまで北朝鮮のスパイが入り活躍する事件が発生したことは、全的に太陽政策の所為だ」、「(反省すべき)当事者の親北左派らからは今度の事件に関して反省の姿勢が見られない」と太陽政策論者らを批判し、「今度のスパイ事件とロウソク示威を通じて、国民が太陽政策の反逆性を悟らすべきだ」と強調した。
また、1995年、ある労働者が全家族が飢えて死んでいく中でも家庭を訪れた全秉浩秘書に、「私たちは飢えて死んでもかまいませんが、将軍様の安寧をお願いしますと言った」とし、北朝鮮の住民はスパイの元正花のように、金正日に自分の精神と自由を奪われて生きていると話した。
最後に黄委員長は、軍隊にも行ったこともなく、今まで全く父(金日成)の権力のお蔭で生きてきた金正日が父を駄目にさせ、彼が金日成の回顧録執筆など「革命歴史」のねつ造を通じて、北朝鮮の人民の精神を奪ったとし、金正日の精神的奴隷になることを拒否して飛び出た脱北者らがまともな精神状態で勉強に勤しむことを頼んだ。
キム・デソン記者lstarkim@naver.com
下は<放送の全文>
今度の女スパイ問題を通じて、われわれは金正日独裁統治の本質を改めて考え、彼らの正体をよりはっきり分かることが出来ました。われわれ脱北者たちと、ここにいる愛国的な人民などもスパイ事件を通じて、このような事実を悟らなければならないと思います。
北朝鮮は、絶えなくわれわれを脅かしており、武力をもって制圧しようとします。なぜこのようなスパイが今多くなったのか? 発表したのは一件ですが、一件ではありません。あのように深くわが軍隊にまで入ってきているということが、どれほど深刻なことでしょうか? 以前はこんなにまではなりませんでした。
ところが、いまだに「太陽政策」が悪かったということに対して自己反省する姿勢は全く見られません。過去10年間、このようにしたのに、それに対して左派たちが間違ったということを反省せずにいます。軍隊は国家を護る最後の砦なのに、軍隊にまで浸透したから、他のところは言うまでもありません。
今度の女スパイ事件とロウソク示威などを通して、われわれがもう一度大いに省みて、「太陽政策」が如何に反逆的だったのかに対して悟るべきだと思います。私は、今度逮捕された女スパイが哀れな精神的な不具者だと思います。その女スパイも自分が完全に騙されて精神的不具者として生きてきたことに対して、悩んでいるようでした。彼女は無条件金正日に騙されてそうなったのです。
もう一度話しますが、今度のことは、安全不感症のために起きた事件でなく、思想不感症のために発生したのです。人間の精神を支配するのは思想です。理念や思想は、集団や国家、民族が目標を立ててどこへ、どのように出向くべきなのか? どんな戦略と戦術により目標を実現すべきかを決める重要な要素です。
われわれがある組織を一つ作る時も、綱領を作るのではありませんか? それが理念です。この組織の目的とその目的を実現するために、どのような戦略戦術と政策に基づくべきかがまさに理念です。理念がないというのは、明き盲という意です。単純に法だけを持ってこの全ての問題を解決することはできません。法を守るようにすることも重要ですが、その法を護るためには精神が必要です。
全秉浩が、95年に大勢の人々が飢えて死ぬ真っ最中、労働者の家を訪ねたら、労働者が家族と飢えて横になっていながらも、「金正日将軍様はお元気ですか。中央党秘書同志がどうか仕えて下さい。私たちは飢えて死んでもかまいません」と言ったそうです。死にながらも、自分たちを餓死させるのが金正日だということを知らないわけです。まともな精神があったのでしょうか。
それで、私は、それとなくしばしば「まともな精神を持って生きなければならない。これが主体思想の原則だ」と言ってあげました。だが、人々は何のことなのかも分かりませんでした。精神が完全に麻痺し、自由がないから、結婚式も一日の仕事が終わって、夕方に退勤して酒1本を置いて簡単にしなさい、と言われるとそうすべきかなと思い、そのままやります。人が飢えて死んでも伝染病で死んだと考えるのが、まともな精神でしょうかということです。
牛が、「いりゃ~」と声をかけると歩き出し、「ウォー~」といえば立ち止るのと同じことで、これが何のまともな精神を持った人間ですか? 金正日はそのように悪いことをし、そのように多くの人々を餓死させて、すべての人間の権利を全部奪っても、自分を偉大な指導者だと頻りに讃えるように強いています。
金日成はそこまではしませんでした。でも、その人はパルチザン闘争もやり、初期には「私が何も別にやったこともないが、やらなかったことよりは良いではありませんか?」と、このように話しました。ところで、金正日が金日成を駄目にしました。彼は、ただの一日も、国民と同じ生活をしてみたことがありません。
金正日は、自分の子供を全部スイスの学校に行かせました。一人も国内の学校に行かせた子供がいません。金日成は自分の息子をとにかく国内の学校で勉強させたのではありませんか? 金正日はただの一日も軍隊へ行って苦労せず、自分の父の権力だけを持って生きた人間です。
われわれの脱北者の中でも何人かが私にきて尋ねます。「その『世紀とともに』という本は事実でしょう?」と聞きます。その「世紀と共に」がどうように作られたのかを全然知らずにいるのです。その前に、パルチザン参加者らが回想記を書かせましたが、事実通り書いたら、金日成の活動がたいした事がないということが明らかになりました。それで、金正日が、回想記を書くのを止めさせ、小説として書くようにしたが、小説として作られたら全部虚構になりました。
その次に、金日成がちょっと年を取ったら、「回顧録を書きたいんだが」と言い、宣伝秘書をやっていた金正日が、宣伝部と党歴史研究所に任せました。当時私は担当の秘書だったので、総合して報告をあげましたが、本を書くのは作家たちを動員して書き、監督は党歴史研究所の副所長がやるように、との指示が下されてきました。
ところで、1冊を作ってきたので読んでみたら、本当に面白く上手に書きました。それでその一冊を全部読みました。事実と違うだけで、本は上手く書きました。その次の冊からは全然読まず、サインのみやってあげました。
1957年だったのか? 朴達の娘が学生委員長であった私にきて、自分のお父さんの所へ行こうというので行ったら、朴達が非常に喜んでいろいろ話をしてくれました。「普天堡作戦というのはとても小さな戦闘です。その戦闘は茂山戦闘を掩護するために日本軍の力量がそちらに集中させないようにするために行われた戦闘です」。茂山戦闘は崔賢がやりました。ところが、金日成が全部やったと完全に嘘をつきまくるのです。
まさにあのように嘘で人の精神を全部奪い精神的不具者にするのです。脱北者たちは金正日の精神的奴隷として生きたくなくて飛び出た人々です。本当に難しいことをやりました。脱北したという自体が英雄的な行動です。ところで、代を引き継いで自慢できるほどのことをやっておいても、まともな精神を奪われるようにになると、ただうやむやになってしまいます。
このスパイ事件を契機に、脱北者らが愛国的な精神が持てるように、民主主義を守護できる思想を持てるように勉強しなければなりません。女スパイのように自分がやった行動が正しいのか正しくないのかさえ把握できない、そのような精神的不具者にならないためには、思想教育を大いにしなければなりません。了 |