金徳弘(前朝鮮労働党中央委資料研究室副室長)
国際外交安保フォーラム(理事長金顕煜)、10月30日(c)フリージョン・ニュース
北韓の体制変動の可能性が相次ぎ提起されている中、国際外交安保フォーラム(理事長金顕煜)は10月30日、金徳弘前労働党資料研究室副室長を招請し、「韓半島の統一と脱北指導者たちの役割」を主題で講演を持った。1997年、黄長燁を説得して北朝鮮を脱出した金前代表は、この日の講演で「南・北韓の統一過程で、最も重要な原則は大韓民国の憲法の中にある」とし、「統一は、結局韓国が主導しなければならない」と強調した。彼はまた「北朝鮮においての中国式の改革・開放は、北朝鮮をまた別の形で社会主義化すること」と言い、「このような錯誤が生じないように北朝鮮のエリートたちを説得する韓国の努力が必要だ」と助言した。<編集者注>
金正日の健康異常説と共に北朝鮮の「急変事態」の可能性に対する議論がなされている。特に、韓国では北朝鮮の急変事態と関連し、韓国側が負う負担(被害)だけを考える傾向があるようだ。結論から言えば、金正日の死亡が即ち北朝鮮の急変事態だと思うべきだ。金正日が死ぬ前に北朝鮮で急変事態が起きるのは不可能だ。
個人的に、韓半島の統一問題と関連しては、ここ10年の左派政権の間、街頭で闘争した方々と同様の考えを持っている。南・北韓の統一において最も重要な原則は、大韓民国の憲法精神、そして韓・米同盟や共助にある。大韓民国は金正日が死んだ後、誰が北朝鮮の実力者になるのかを念頭において、その間準備してきたことを着実に実行に移さなければならない。
「中国式の改革開放は時代錯誤的発言」
公開-非公開的な対北接触を進めなければならない。「首領絶対主義」の独裁体制は、金日成と金正日だけのためのものだった。この二人の下で苦労してきたのは北朝鮮の人々は誰も同じだ。
したがって、彼ら(新しい実力グループ)を探し、向かい合わなければならない。朴正煕大統領の時、中央情報部長が北朝鮮に行ったのと同じ行為だ。北朝鮮は、労働党中央委員会が実質的な権力機構だ。彼らも胸中では北朝鮮が改革・開放をしないと死ぬしかないという考えを持っている。北朝鮮における中国式の改革開放を話すが、これは時代錯誤的な話に過ぎない。
中国式改革開放は、その効力が長続きしない。北朝鮮がどのような改革開放の道に入っても、韓国の経済力が北朝鮮に及ぶのは避けられない。韓国が中国より豊かだと言う情報が、開放された状態では、北朝鮮は1年も持ちこたえられない。金正日の死後、強硬な者が現れて北朝鮮を統治する状況になれば、本当に避難民が発生するかも知れない。
こういう状況を予防するためにも、韓国は北朝鮮のエリートらと水面下の接触を試み、金正日が死ぬと直ちに北朝鮮に入り、非常措置を取らねばならない。北朝鮮の人々は、今金正日を批判したら殺されることが分かるので、不満があっても言えずにいる。今まで米国のせいで北朝鮮が苦しいと洗脳されたが、それでは米国と和解すれば良いではないかというのが北朝鮮の人々の考えだ。
「北朝鮮は、韓国・米国など豊饒な国と手を握るべきだ」
中国式の改革開放をいうが、今まで中国に対して「事大主義」をやって生きてきのに、また社会主義の影響の下の改革開放して、世界で一番貧しい国として生きたいとでもいうのか! アメリカのような豊かな強大国と手を握るのが北朝鮮が生きる道だ。わが民族は善良なので、強大国に矢を一放ったこともないと自慢するが、これが何の自慢の種なのか! 強大国に対して矢を一放つ勇気がなければならない。
第2次世界大戦後、ソ連軍隊が進駐した国々全て乞食になり、今再びUターン(U-turn)して改革開放の道へ行っているのではないか。だが、米国によって解放された韓国・日本・ドイツなどは、皆先進国になって良い暮らしをしている。現実が全てを見せてくれている。このような考えを持った人々が北朝鮮にもいるのに、中国式の改革開放すべきだと? 今の大韓民国は世界10大の貿易強国だ。
われわれは、今まで南・北韓が統一されてこそ、皆が良い暮らしができると教わって来たではないか! 韓国の1%の経済力は北朝鮮の33%の経済力に該当する。大韓民国が北朝鮮を食べさせるのに何の問題がない。中国式の改革開放でなく、初めから北朝鮮に自由民主主義と市場経済を導入し、一定期間の過渡期を経て最終的に統一しよう、と我々が先に主張しなければならない。
「北朝鮮は韓国の主権地域であることを国際社会に知らせよ」
北朝鮮のエリートたちにこのように言っても聞かないと非常措置を取らねばならない。待ってあげるとかはやる必要もない。もはや、このような問題をわれわれが深刻に考えるべき時期になった。大韓民国政府はこれからやるべき仕事が多い。北朝鮮は大韓民国の主権の及ぶ地域である事実を国際社会に知らせなければならない。
大韓民国は、アメリカと一緒に北朝鮮の核や生化学武器、ミサイルなどを解体できる。他の国がここに干渉する余地がない。中国に対しても、北朝鮮が解放されれば東北3省はこれから30年間毎年数百億ドルの利益が発生する、国境問題も心配するな、今後30年間は失業問題もない、と説得しなければならない。
金正日は長く持たない。金正日の健康問題は、来年には決着されると思えば良い。したがって、金正日が死亡し、北朝鮮問題を大韓民国が主導できる時期は全て来年に決定される。われわれに時間が多くない。最近、北朝鮮が韓国に対して強硬策を取っているのには理由がある。ビラ一枚撒かれるのにも神経を尖らせている。
この前、金正日が北朝鮮のある研究所を訪問したというABC放送の誤報があった。理由は簡単だ。 金正日は自身が健在だということをアメリカの放送を通じて全世界に知らせたかったのだ。足が正常なら、何とか注射でも打ってもらって動き回りたいのが金正日の心情であるだろうに、それも出来ないから、下半身が麻痺した状態だと見れば良い。大小便も一人でできないのだ。
「金正日は現在下半身がマヒ状態の可能性」
気の荒い金正日がどれほどつらいだろうか想像できる。このような事実をこの前中国を通じて分かった。今北朝鮮の住民は、金正日が一日でもはやく死ぬことを願っている。現実がこうだから、北朝鮮の指導部が相当不安に駆られているのだ。「ビラ」の話はすでに前の政権の時全部終わった話なのに、また取り出すにはこういう理由が背景にある。
韓国からビラを送れば大部分が海岸に落ちる。ところで、海岸には軍が駐留している。最後の牙城が軍隊なのに、金正日を批判するビラを見て思想的混乱が生じるため、止めさせないわけにはいかないのだ。10年前、「南北軍事会談」に出た北朝鮮軍の将校らの表情を今と比較してみると、全く自信がないように見える。表情が以前とは全く違う。
第2次大戦の時、ヒトラーはソ連侵攻を控え、ソ連軍の行進の様子を眺めるスターリンの表情を見て攻撃を敢行した。彼の表情に自信があるかどうかを観察したのだ。ところが、今北朝鮮軍の瞳には自信感がないように見える。
今、北朝鮮の指導部は不安な状態で動いている。金正日の死後、また別の実力者が現れて、首領絶対主義を継ぐというのは不可能だ。金正日がやったことと全く同じ政治をやれば、北朝鮮に銃や手榴弾を持った者らが多いのに、彼らが黙っていないはずだ。こうなれば事実上の内乱だ。大韓民国は今世界10大貿易国家だ。 私たちはその間統一をしなければなければならないと習ってきた。 こういう重要な時期に反民族反自由民主主義的行動をしてはいけない。
「南北統一は結局大韓民国の主導でなされてこそ」
南北統一の大義名分は大韓民国が持っている。これから金正日死後の北朝鮮では多様な政治勢力が出てくるだろう。ところで、ここに中国も乗って出る? 話にならない主張だ。1960年代の中盤まで、北朝鮮では親中・親蘇勢力を全部粛清した。
ただ、北朝鮮から逃れた親中・親ソ勢力のみが生き残っているだけだ。だが、彼らも今は年寄りで、何かを行動に移す力がない。張成澤の話が出るのが、金正日が彼を労働党組織指導部の第1部部長から労働党行政部長へと移した理由がある。
組織指導部の第1部部長と行政部長は、天と地の差だ。中央党の中に20余り組織があるが、組織指導部は人を管理する最も重要な部署の一つだ。ところで、金正日が彼を行政部長のポストに置いておくのは、彼を絶対自分の後継者に立てないという意図だ。
金正日が張成澤を大目に見てやる理由は、全く自身の妹の夫であるからだと見れば良い。北朝鮮の問題は結局大韓民国の主導で吸収統一すれば済むと思えば良い。
取材整理/フリージョン・ニュース金泌材記者(spooner1@freezonenews.com)
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