今年、創立60周年を迎えた同組合は、本店・本部を東京都港区芝大門1-3-1に移転した。在日同胞の相互扶助を目的に発足した協同組織金融機関として、60年にわたる歩みを受け継ぎ、新たな金融ニーズや地域社会の変化に対応していく節目となる。
同組合は1966年8月30日、宮城県仙台市で「信用組合宮城商銀」として設立された。当時、金融サービスを受けることが困難だった在日韓国人の中小・零細事業者が互いに支え合い、経済的基盤を築けるよう支援することが設立の趣旨だった。同年9月には仙台市青葉区二日町に本店を開設し、業務を開始した。
その後、事業譲受や合併を通じて営業基盤を拡大してきた。1999年には旧北海商銀信用組合の事業を譲り受け、名称を「信用組合北東商銀」に変更。2002年4月には旧東京商銀信用組合の東京・埼玉地区の10店舗を継承し、現在の「あすか信用組合」に改称した。同年7月には青森商銀、秋田商銀、岩手商銀、福島商銀と合併し、2004年には本店所在地を仙台市から東京都新宿区へ移した。
2026年3月末現在、同組合の預金・積金は5,248億円、貸出金は4,314億円、出資金は91億円。組合員数は4万2,467人、店舗数は16店舗、役職員数は222人となっている。営業区域は東京都、埼玉県、宮城県、北海道、青森県、岩手県、秋田県、福島県、山形県の9都道県に及ぶ。
同組合は2025年度の現況をまとめた資料で、預金と貸出金が大幅に増加し、業務純益、当期純利益ともに前年度を上回り、最高益を更新したと報告した。主力預金商品の利用拡大や、取引先企業の事業性を評価した融資などが業績を支えたとしている。
木村理事長は同資料のあいさつで、組合員や取引先の支援に感謝するとともに、地域の顧客や組合員が抱く夢や目標の実現に向け、金融サービスを提供していく考えを示した。また、9月の本店・本部移転に続き、10月には新宿御苑前駅に直結するビルに新宿支店を開設する予定であると説明した。
同組合は「成長・安心・挑戦」を経営方針に掲げている。多様な背景や価値観を持つ顧客とともに成長し、健全経営を通じて地域社会の信頼を築くとともに、職員が安心して挑戦できる職場環境の整備を進める方針だ。設立当初の精神を原点に、時代の変化に適応しながら、多様な顧客に円滑な金融サービスを提供することを経営理念としている。
信用組合は、組合員の出資によって運営される協同組織金融機関であり、組合員の経済的地位の向上と地域経済の発展を主な目的とする。地域で預かった預金を、事業や暮らしに必要な資金として地域に還元する相互扶助の精神が、その基盤にある。
在日同胞社会の相互扶助から出発し、各地域の顧客とともに歩んできたあすか信用組合。創立60周年の年に実現した今回の新本店・本部への移転は、その歴史を未来へとつなぐ新たな一歩となった。
(李勝敏)
 | | | 東京都港区芝大門の新本店・本部ビル前で、テープカットを終え記念撮影に応じる木村弘理事長と役員ら
東京都港区芝大門に新たにオープンした「あすか信用組合」の本店・本部ビル |