韓国と日本の関係は2023年3月の韓日首脳会談をきっかけに改善基調にあり、経済界においても未来志向の関係構築に向けた動きが活発化している。韓日の経済協力は、世界情勢の変化やグローバル経済の課題に直面するなかで、多くの共通課題への対応のため、新たな段階へと進んでいる。
韓日両国は米中対立によるサプライチェーン(供給網)の再編、少子高齢化、エネルギー問題、脱炭素化、人工知能(AI)革命による電力需要の急増といった共通の課題に直面し、これらに対処するためには協力が不可欠という認識が強まっている。
サプライチェーンに関しては、米中対立の激化や経済安全保障の重要性の高まりを背景に、両国が強靭化を急いでおり、新たな経済協力促進の要因となっている。少子高齢化は韓日共通の課題であり、成功事例の共有や共同での解決策模索が期待されている。
■協力で技術革新加速
今後の経済連携強化が期待されている産業分野としては、半導体、AI、バイオ・ヘルスケア、水素などの次世代エネルギー、スタートアップでの協力が重視されている。とくにAI革命による電力需要の急増や脱炭素社会の実現といった課題に対し、両国が共同で新エネルギーの導入を進める必要性が指摘されている。
半導体とAI、特に生成AIは、両国が連携を強化すべき重要な分野として認識されている。これらの技術は現代社会の基盤であり、グローバルな競争が激化するなかで、韓日が協力することで技術革新を加速し、競争力を強化できると期待されている。
バイオ・ヘルスケア分野では、韓国の革新的なバイオ製造能力が注目されており、感染症対応での成功なども高く評価されている。韓日がそれぞれの強みを生かし、医療技術の発展や新たな治療法の開発などで連携する可能性がある。
■水素で具体的動き
次世代エネルギーについては、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)社会の実現に向け、韓日両国は水素社会の構築に積極的に取り組んでいる。現代自動車グループは、水素産業のリーダーたちとの協力を促進するため、水素関連の国際会議をソウルで開催するなど、具体的な動きを見せている。AI革命による電力需要の増加や脱炭素化の課題に対し、新エネルギー導入での共同推進が不可欠とされている。
スタートアップ政策分野では協力関係を深化させ、情報交換を行っている。政府間の政策対話を通じて、スタートアップ育成・支援策やエコシステム(生態系)の動向が共有されており、相互の海外展開や投資誘致を強化するための施策が話し合われている。
韓国の経済団体・韓国経済人協会は昨年6月に企業アンケートを実施し、6割の企業から「韓日経済協力が経済成長のために今後も必要」との回答を得た。韓国経済人協会は「生産的な協力が持続するよう両国関係を安定的に維持しなければならない」と分析している。
大韓商工会議所の崔泰源会長(SKグループ会長)は、韓国と日本が経済的に結合した場合、「国内総生産(GDP)ベースで6兆ドル(約940兆円)、1人当たり3万5000ドル(約550万円)以上の高所得者が2億人以上の巨大経済圏になる可能性がある」と説明し、韓日経済統合を提唱している。
■世界的視野で連携を
国交正常化以降、関係が厳しい時期もあったが、両国首脳の対話を通じて関係改善が図られてきた。経済のグローバル化が進むなか、現在では2国間関係としてだけでなく、広い視点に立って連携の可能性を検討することが必要となっている。 |