中国籍(34・4%)の多さに懸念の声も
韓国では今、人口20人に1人が海外出身者、もしくは外国ルーツを持つ「移民・多文化人口(政府表記:移住背景人口)」となった。中心を成すのは20~30代の若い世代。少子化と高齢化で活力を失いつつある韓国社会において、労働市場の空白を埋める重要な存在として注目されている。一方で、外国人への根強い不安や抵抗感は依然として残っており、「受け入れ」の仕組み作りが急務となっている。
国家データ処が8日に発表した統計によると、昨年11月時点で国内の移民・多文化人口は271万5000人。1年間で13万4000人増えた。うち204万人(75%)が長期滞在の外国人で、残り67万人は帰化者や移民2世などの韓国国籍保有者だ。
この「移住背景人口」は、内国人と外国人を含めた概念として政府が用いている。総人口に占める割合は5・24%で、研究者の間では、移民比率が5%を超えると「多文化社会」に入ったとみなされる。
今回は、これまで統計対象外だった脱北者(北韓離脱住民)やサハリン残留同胞なども新たに含まれた。
高齢化する韓国vs若い移民層
注目されるのが年齢構成だ。韓国の人口が50・60代中心に急速な高齢化が進む一方、移民・多文化人口は「働き盛り」の若年層が大半を占める。
年齢別では30代:24・3%、20代:21・0%、40代:15・4%、50代:11・6%で、15歳から64歳の生産年齢人口は実に81・9%に達する。65歳以上の高齢層は5・5%にすぎず、事実上、半分近くが20代から30代だ。
データ処の関係者は「韓国全体の生産年齢人口が70%である点を考えれば、移民・多文化人口は高齢化した労働市場に大きな活力を与えている」と説明する。
若年層の移民が増加した背景には、雇用許可制の拡大、就労・留学・国際結婚など多様な流入経路がある。親の出身国ではベトナムが27・2%で最多、中国および韓国系中国人(朝鮮族)が計28%と続く。居住地域は首都圏が56・8%を占めるなど集中が進む。
地方では依存度がより高く、全南・霊岩郡(21・1%)、忠北・陰城郡(19・9%)、京畿・安山市(16・1%)など、10%を超える自治体は全国17カ所。
偏見を越えて「共に生きる」社会へ
人口比5%を超え、増加が続く現状を踏まえると、移民は既に社会の「前提条件」といえる。しかし、偏見や差別は改善が進んでいない。
国連人種差別撤廃委員会は「韓国ではオンライン・オフラインを問わず差別的言動が増えている(2025年5月)」と懸念を示した。景気低迷に伴う雇用不安が背景にあるとされ、フランスやドイツなど欧州と似た傾向だ。ただし韓国の場合、社会的衝突として表面化することは少なく、差別が見えにくい形で起きやすい点が特徴だ。多文化家庭の子どもの教育問題も喫緊の課題で、約74万人に達する一方、対象者のうち高校中退率は2・33%と一般生徒の2倍。言語の壁や基礎学力の差が社会適応の足かせになっている。
25年に超高齢社会へ入った韓国では、生産年齢人口の減少は避けられない。移民を「地域の仲間」として受け入れる社会的合意の形成が、重要になっている。少子化による人口減を考えれば、移民受け入れは選択ではなく必然。「安価な労働力」ではなく、韓国社会を共に支える構成員として捉える意識転換と政策設計が求められている。
一方、25年10月現在、国内在留外国人(法務部)は約283万7000人(参考データ)だが、中国籍者(朝鮮族含む)は約98万人で、在留外国人全体の34・4%を占めており、偏りに懸念の声も上がっている。 |